『波よ聞いてくれ』平野綾のまどかはベストキャスティング ラジオの主役は誰なのか

『波よ聞いてくれ』平野綾はベストな配役

 さて、完全に水と油の関係に思えたミナレとまどかだったが、酒癖の悪さ以外にも一つ共通点があった。それはラジオ業界に入ったきっかけ。ミナレは見ず知らずの麻藤に元彼の愚痴をこぼしたところ、その才能を買われ半ば強引にこの世界に引き入れられた。一方のまどかは大学生の頃、彼氏にフラれた愚痴をとあるラジオ番組に送ったところ、逆にDJから責められたことがきっかけとなって、「リスナーの気持ちに寄り添うパーソナリティーになってやる」と業界入りを決意したという。

 その当時まどかをフッた彼氏というのが、現在のストーカーである鶴田(青柳翔)。ひょんなことから彼に頼まれ、ミナレは自分の番組で公開プロポーズの場を設けてやることに。しかし、真のメイン企画はミナレから勘違いストーカーへの公開説教だった。まどかにいくら否定されようが、この日も彼女は一切の忖度なく思いの丈をぶちまける。

「あなたが主役としていられるのはリスナーとしてだけ。あなたの人生の主役はあなたでも、Mさん(まどか)はあなたの人生の脇役じゃない!」

 ラジオの主役はパーソナリティーか、それともリスナーか。その答えは多分どちらも正しい。ミナレのその言葉が当事者である鶴田やまどか、さらに実の兄に長年監禁されていたというマキエ(中村ゆりか)に挽回のチャンスを与えたように、誰かの主張が心のどこかに触れることもある。こうしてMRSに似てるようで似ていない2大巨頭が誕生した。

 すべては麻藤の目論見通りなのだろうか。彼にミナレそっくりの女性が教えたアイヌ語で「笑わせる」という意味を持つ単語“ミナレ”、そしてミナレの父・マコト(立川談春)が電話で語った「周りから笑ってもらえる人間になれ」という言葉。どういう繋がりがあるかはまだわからないが、混沌としたこの世界を貫く何かしらの秩序がそこに存在していそうだ。

■放送情報
『波よ聞いてくれ』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜0:15放送
出演:小芝風花、片寄涼太、原菜乃華、中村ゆりか、平野綾、西村瑞樹(バイきんぐ)、井頭愛海、中川知香、小市慢太郎、北村一輝ほか
原作:沙村広明『波よ聞いてくれ』(講談社『月刊アフタヌーン』連載)
脚本:古家和尚
演出:住田崇、片山修、植田尚
音楽:林ゆうき、山城ショウゴ
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:高崎壮太(テレビ朝日)、神通勉(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/namiyo/

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