『ルパン三世 カリオストロの城』声に出して言いたい名台詞の数々 各キャラの個性が光る
いきなり進入してきた男が自分は泥棒だと名乗れば、普通の少女は怖がってしまう。だからルパンは、大仰な演技で緊張をほぐして自分に関心を向けさせる。そして優しさと頼もしさを示して信頼を得ようとする。アニメーションとしての豊かな表現に山田康雄の軽妙な演技が重なって、クラリスならずとも惹きつけられてしまう名シーンだ。
そんなルパンに気づいて乗り込んで来たカリオストロ伯爵にも、「へらず口もそこまでだ」という台詞があって、石田太郎によるふてぶてしさを含んだ声に重ねてつぶやき、自分を偉い人間だと思ってみたくなる。状況だけでなく、キャラクター性も的確にとらえた台詞に、それを完璧に表現する声優たちの演技があわさることで、台詞がストーリー展開の指標となる。本作の台詞が自然と頭に入ってくる理由はそこにある。
以後のストーリーでも、名台詞は山ほど出て来て、その度に観ている人の記憶を刺激する。クラリスからルパンとの関係を聞かれた峰不二子が答えた、「時には味方、時には敵、恋人だったこともあったかな」という台詞は、複雑に絡み合った2人の関係を見事に言い表している。カリオストロ公国を後にするルパンに次元がかける、「おめえ、残ってもいいんだぜ」という台詞には、心情を察しつつも、そうはしないルパンの性格を知り抜いた、相棒ならではのニュアンスが漂う。
本作の発声上映が開かれるとしたら、ルパンチーム、銭形チーム、クラリスチームといった具合に担当を分けて、推しキャラになりきるというのも手かもしれない。そこで困るのが五ェ門チーム。何しろ台詞が少ない。それでも「可憐だ」と「今宵の斬鉄剣はひと味違うぞ」という、五ェ門のウブさと剣士としての強さという両面を表す台詞が言えるなら、五ェ門チームに志願してもいいという人も出てきそうだ。
それでもやはり、「あなたの心です」に勝る名台詞はないのではないだろうか。もちろん劇場での発声上映は仮定の話。テレビ放送を家で観る人は、好きな台詞を誰にはばかることなく思いきり叫んで、『ルパン三世 カリオストロの城』の世界に入り込もう。
■放送情報
『ルパン三世 カリオストロの城』
日本テレビ系にて、5月5日(金)21:00~23:04放送 ※ノーカット ※10分拡大
原作:モンキー・パンチ
監督・脚本:宮﨑駿
音楽:大野雄二
声の出演:山田康雄、小林清志、井上真樹夫、増山江威子、納谷悟朗
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