『どうする家康』岡田准一の繊細な演技に宿る織田信長の“怖さと愛情” 物語を動かす人物に
『どうする家康』松本潤へと繋がる川口和空の熱演に拍手! 鮮烈過ぎた竹千代と信長の過去
NHK大河ドラマ『どうする家康』第2回「兎と狼」の冒頭。松本潤が演じる松平元康(のちの徳川家康)誕生の瞬間が描かれたが、生母の於…
家康が竹千代と呼ばれていた幼少期を演じたのが川口和空。子どもで人質の身だった竹千代時代の家康を相撲の技で何度も投げ飛ばしたあげく、耳元で「食ってやろうか」と囁く悪魔のような信長に竹千代が抵抗できないのは仕方ないこと。「地獄じゃ」と、思わずつぶやく竹千代に「そりゃいい! そのとおり、この世は地獄じゃ!」と、「よく言った!」とばかりに竹千代を見下ろして信長はうれしそうに笑うのだが、竹千代はただ怖くて、つらいだけ。
人質時代のトラウマも克服できないまま、自分の本意ではないが、家臣団に説得されて信長との同盟を決断した家康。第4回「清須でどうする!」では、信長に会うため尾張の清須城(清洲城)を訪れ、家臣からは「先に頭を下げてはなりません」と言われていたのにもかかわらず、睨む信長を前にさっさと頭を下げてしまう。
威圧的な信長に、ただひたすらビビるだけの家康ではなく、強引な要求を突きつけられるたびに家康は自分が何を望んでいるのか、どうしたいのか必死で答えを探す。家康が真剣に導き出す答えに心を動かされる信長の表情を、岡田は繊細に表現する。そこにこの作品ならではの面白さも生まれている。
V6として活動しながらも俳優として活躍の場を広げ、映画『燃えよ剣』では土方歳三、映画『関ヶ原』では石田三成を演じた岡田。大河ドラマの出演は主人公・黒田官兵衛を演じた『軍師官兵衛』以来になるが、時代劇においても説得力のある演技、巧みな表現力は見る者を圧倒する。細やかな表情の変化にも魅了される。
第14回「金ヶ崎でどうする!」では、信長が信頼している義弟・浅井長政(大貫勇輔)に裏切られる。家康とともにピンチを迎えることになるのだが、果たして2人の関係性に影響はあるのか。岡田准一が信長をどう演じ切るのか、松本潤演じる家康との関係にこれからどのような変化が起きるのか、注目していきたい。
■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK