『舞いあがれ!』ラストの舞のセリフに込められていたものは? 最終回を制作統括に聞く

『舞いあがれ!』最終話を制作統括に聞く

 『舞いあがれ!』(NHK総合)が3月31日に最終回を迎えた。

 2027年1月、五島列島で運航開始となる空飛ぶクルマ「かささぎ」。離島に往診に向かう医師と祥子(高畑淳子)を乗せ、初フライトの操縦パイロットを務めるのは舞(福原遥)だ。かささぎは、貴司(赤楚衛二)が自分を見つけた場所・大瀬埼灯台、かつて幼い頃に舞がばらもん凧を揚げた知嘉島を通過していく。

 半年間にわたる物語を締めくくる「こちら、かささぎ。まもなく一つ目の目的地に到着します」という舞の最後のセリフ。制作統括の熊野律時は、ここに『舞いあがれ!』の伝えたかったメッセージが詰まっていると語る。

「桑原さんとこの物語を考えていた当初から、紆余曲折ありながらも、一生懸命に生きてきた舞が様々な人々との繋がりや絆のもと、最後は空を飛び立っていくというラストを考えていました。舞にはきっとこの先もいろんなことがあるだろうけれども、ここまでやってきたように多くの人と手を携えて、お互いに励まし合いながら、いろんな困難を乗り越えていく――これからも舞の人生は続いていきますし、ここが終わりではないということを『一つ目の目的地に到着します』というセリフが示しています」

 舞のフライトを現地やリモートで見守る家族、仲間たち。由良(吉谷彩子)、めぐみ(永作博美)、悠人(横山裕)、久留美(山下美月)、祥子(高畑淳子)のセリフが、これまでの物語の一つひとつのパートを繋いでいく。熊野は桑原亮子が紡ぐ脚本の魅力を「さりげないシンプルなセリフにも、そのキャラクターの思いが伝わるような、豊かで奥行きのある言葉を考え抜いて書いてくださっている」と述べる。

 五島での最終ロケは2023年1月末に行われた。かささぎが空に飛び立つシーンでは、地元から300人余りがエキストラとして参加。「いろんな人の思いが空飛ぶクルマを飛ばしているんだということが分かる撮影現場になった」と熊野は感慨深げに話す。

「ロケが終わって、僕たちスタッフはフェリーで五島を離れたんですけど、撮影に協力してくださった方々が横断幕や紙テープで見送りをしてくださいました。初めての五島でのロケの時もそうだったのですが、見えなくなるまでずっと手を振り続けてくれて、五島のみなさんの温かい気持ちが伝わってきましたし、いい映像が撮れて、素晴らしいロケになりました」

 刈谷を演じる高杉真宙にとっては、『舞いあがれ!』としては今回が最初で最後の五島でのロケとなった。

「素敵なところだと感激していました。めぐみや貴司が乗っためぐみ丸が、かささぎを追いかけるシーンで、五島での撮影はラストという方々が多かったんですね。船のカットを撮って港に帰ってきて『お疲れ様でした!』というようなところにも、高杉さんは自分が出ているシーンではないのですが残ってくれていました。夕暮れの港で抱き合いながら、キャストのみなさんも素敵にロケを終えることができました」

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