『逃げ上手の若君』アニメならではのアクションに期待 『鎌倉殿』に続く日本の中世史
だが本作は、時行が仲間たちをまとめ上げるリーダーとして成長していく様子はこれぞ少年漫画の王道と言える展開で、ジャンプならではの面白いバトルを軸に置くことで、とっつきにくい歴史の世界に優しくいざなってくれる。
歴史漫画だけあり、劇中の着物の柄は多種多彩で、鎧兜や太刀は3DCGでモデリングされたものが多く登場し、バリエーション豊かだ。これがアニメ化によって豊かな色彩で描かれるのが楽しみである。何より、激しい戦いや集団での戦の場面が多いため、アニメならではのアクションとなることを期待している。
昨年は、湯浅政明監督のアニメ映画『犬王』、山田尚子監督の深夜アニメ『平家物語』、三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が話題となり、日本の中世を舞台にした時代劇に注目が集まっていた。
血なまぐさい争いが続き、時の権力者が次々と入れ替わっていく不安定な時代だった中世に多くの人々が惹きつけられるのは、コロナ禍、ウクライナ戦争、元首相の暗殺といった予測できない出来事が、次々と起こる現代とどこか重なる所があるからだろう。
『鎌倉殿の13人』の結末から109年後の幕府滅亡から物語が始まる『逃げ上手』の人気も、アニメ化をきっかけに、より広がっていくのではないかと思う。
■作品情報
『逃げ上手の若君』
原作:松井優征(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:山﨑雄太
シリーズ構成:冨田頼子
キャラクターデザイン:西谷泰史
制作:CloverWorks
©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
公式サイト :https://nigewaka.run/
公式Twitter :@nigewaka_anime