フランソワ・オゾン監督作『苦い涙』予告編公開 大島依提亜デザインのポスターも

フランソワ・オゾン監督作『苦い涙』予告編

 6月2日に公開されるフランソワ・オゾン監督最新作『苦い涙』の予告編、ポスタービジュアル、新場面写真が公開された。

 『Summer of 85』『すべてうまくいきますように』などを手がけてきたオゾンが、敬愛するドイツの映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの1972年の『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を現代風にアレンジした本作。『焼け石に水』に続き、ファスビンダーの戯曲を20年ぶりに映画化した。若く美しい青年に恋をして、翻弄される映画監督ピーターの姿を描き出す。第72回ベルリン国際映画祭のオープニング&コンペティション部門に正式出品され、第48回セザール賞では主演男優賞・有望新人男優賞にノミネートされた。

 著名な映画監督ピーター・フォン・カントは、恋人と別れて激しく落ち込んでいた。助手のカールをしもべのように扱いながら、事務所も兼ねたアパルトマンで暮らしている。ある日、3年ぶりに親友で大女優のシドニーが青年アミールを連れてやって来る。艶やかな美しさのアミールに、一目で恋に落ちるピーター。彼はアミールに才能を見出し、自分のアパルトマンに住まわせ、映画の世界で活躍できるように手助けするが……。

映画『苦い涙』予告編

 公開された予告編では、 1967年に日本でのみシングルカットされ大ヒットしたウォーカー・ブラザーズ「孤独の太陽」の印象的なイントロとともに、ファスビンダーの名作のリメイクであることが明かされる。そして魅力的な青年、スター女優、映画監督、助手という、見るからに癖のある登場人物たちが紹介される。エゴイスティックな愛に翻弄される映画監督と美しい青年のパワーゲームを軸に、アパルトマンの一室で繰り広げる人間模様が気になる展開を見せていく。正気を失うほど美青年に恋をしてしまう映画監督はどうなるのか。ラストカットでは、カメラ目線で熱い視線を送る青年の姿が映し出されている。

 あわせて公開された日本版ポスタービジュアルは、グラフィックデザイナーの大島依提亜がデザインを担当。ゴールドを基調にキャストが勢ぞろいし、劇中でイザベル・アジャーニ演じる女優シドニーが歌うオスカー・ワイルドの詩を基にした歌から引用した「人は愛するものを殺す(でも誰も死なない)」というキャッチコピーが添えられている。さらに、過去のオゾン監督作のデザインも手がけてきた大島から、オゾン監督へのコメントも到着した。

 公開された新場面写真は6点。妖艶なアジャーニや、まるで絵画のような見た目の青年、情熱的な恋に囚われていく主人公の映画監督のインパクトある姿が切り取られている。

大島依提亜(グラフィックデザイナー)コメント

実はフランソワ・オゾンの作品の日本版デザインを担当するのもかれこれ5作目。
最初に担当した初期の傑作『焼け石に水』と同じく、今回の『苦い涙』はファスビンダーの戯曲が原案と、さらに縁を感じますが、お洒落で(珠玉の70sインテリアや衣装の数々に悶絶!)妙に可笑しい作風も、どこか『焼け石に水』と共通して、一見すると原点回帰ともいえます。
しかし! これまでの監督としての経験とキャリアだからこそのオゾンの成熟ぶりはーー技術やテーマ性、全てにおいてーー目を見張るばかりで、その辺も存分に堪能頂けるかと思います。

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■公開情報
『苦い涙』
6月2日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:フランソワ・オゾン
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』から自由に翻案
出演:ドゥニ・メノーシェ、イザベル・アジャーニ、ハリル・ガルビア、ステファン・クレポン、ハンナ・シグラ、アマンテ・オーディアール
配給:セテラ・インターナショナル
原題:Peter Von Kant/2022/フランス/フランス語/85分/日本語字幕:手束紀子
©2022 FOZ - France 2 CINEMA - PLAYTIME PRODUCTION
©Carole BETHUEL_Foz

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