『舞いあがれ!』山口智充のアドリブに赤楚衛二が素で笑う? ばんばの入院に感じる切なさ

『舞いあがれ!』赤楚衛二が素で笑う?

 ばんばこと祥子(高畑淳子)が倒れた。物語も終盤にさしかかってきた『舞いあがれ!』(NHK総合)では、東大阪で子育てをする舞(福原遥)の元に祖母が脳梗塞になったとの知らせが届く。

 貴司(赤楚衛二)の後押しもあって急いで五島に向かう舞とめぐみ(永作博美)。病院で久々に会った祥子は、当たり前だが白髪も増えていた。「気がつかないうちに自分の親がこんなに歳をとっていた」という驚きと悲しさは、今回のめぐみが置かれた状況を経験したことがある人にとっては共感できるものだろう。離れたところで暮らす両親がいる視聴者にとっても、親が倒れて1人で暮らせなくなってしまった、それでも親はその住処を離れたくない、という状況は痛いくらい理解できるものかもしれない。

 軽い脳梗塞で、2週間後には退院できるが手足の痺れは残ると言われる祥子。舞たちが病室にたどり着いたとき、外を眺める表情に虚しさが垣間見えたが、祥子は自分が娘や孫に迷惑をかけることになることを知っていたからこその無力感を感じていたに違いない。何より、彼女にとって船に乗れなくなることは大きな意味を持っていた。あの船は亡くなった漁師の夫(めぐみの父)がずっと漁に出ていた船だった。第69話を振り返ると、めぐみが会社をたたむ決意をしたとき祥子に船を引き継いだ理由を聞くシーンがある。そのとき、祥子はずっと夫が乗っていた思い出のある船を売る気にもなれず、自分も乗ることでまだ2人で一緒に働いているような気がするから、と答えていた。そんな祥子の気持ちを考えると、「船に乗れなくなる」ことの意味に悲しさが増す。

 それでも祥子にとって、その本音を話せる相手がいて良かった。木戸(哀川翔)は、「もっと乗りたかったとよ」と言う祥子の想いを知った上で、「それは無理たい」と伝える。古い船だから、自分が乗らなければ廃船になる。そこで「若葉」という人物に託す話が持ち上がるが、これからしっかり登場するキャラクターなのかもしれない。

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