『ハマ蹴り』藤ヶ谷太輔の背中に宿った男らしさ 紘一が教えてくれた、人生で大切なこと
生きていると、ふと思うことがある。「もしも、あの時ちがう道を選んでいたら、もっと素敵な自分になれていたのではないか?」と。でも、過去にとらわれていたって、現実が変わるわけじゃない。変えることができるのは、“未来”だけなのだから。
『ハマる男に蹴りたい女』(テレビ朝日系)第7話。とっても大切なことを、紘一(藤ヶ谷太輔)に教えてもらったような気がする。
「カヅキビール」にいた頃の紘一は、たしかに最低だった。仕事さえできればいいと思って、妻の夏美(早見あかり)には見向きもしない。同僚たちのことも、いつも見下していた。
きっと、彼自身も当時の自分のことが大嫌いなのだと思う。仲間がいないということは、頼る相手がいないのと同じ。きっと、日々孤独を感じていたのではないだろうか。
そんな彼が、下宿「銀星荘」の管理人となり、いつか(関水渚)と出会った。冷たい態度をとるけれど、紘一のなかにある弱さを引き出し、温めてくれるいつか。“どんなあなたでもいいよ”と言ってくれる存在がいることが、どれだけ救いになるか。
その一方で、夏美は紘一に輝いていてほしいと思っている。きっと、何もかもが完璧な彼女のそばにいたら、どんどん向上心が強くなっていくことだろう。それもあって、紘一は猪突猛進に仕事に励んでいたのだと思う。
でも、それって幸せなのだろうか。いちばん大切にしたい相手の前で、気を許すことができない。どんな時でも、輝いている自分を求められる。“家庭”という、本来は息を抜けるはずの場所が、頑張らないといけない場所になってしまうのは、しんどい。
夏美から、「昔のあなたに戻って」と言われた時、紘一は「お前と一緒だった頃の俺には、もう戻れないんだ」と返した。きっと、“もう戻れない”のではなく、“もう戻りたくない”のだろう。