『ハマ蹴り』三角関係がカオスな展開に 両思いなのにすれ違う紘一といつかの切ない距離
“怒り”の感情って、いちばんエネルギーを使う。だから、怒りを向ける相手に対しては、少なからず気になっている部分があるのだろう。本当にどうでもよくなってしまったら、大抵の人は怒ることを諦めてしまう。パートナーとの関係性においても、喧嘩ができるうちはまだ大丈夫。言い合いが減ったら要注意……などという恋愛論を、耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。
『ハマる男に蹴りたい女』(テレビ朝日系)のいつか(関水渚)も、紘一(藤ヶ谷太輔)を見るたびにプンスカしている。まるで反抗期の娘かのように、やることなすことすべてに文句をつけて。
でもそれは、紘一のことが気になっているがゆえの怒りなのだろう。素直になれないいつかは、冷たい態度を取ることで“分かって”とアピールしているのだ。しかし、女心を読むのがうまくはない紘一は、いつかのそんな気持ちを察することなんてできない。いつかの気持ちに先に気づいたのは、彼女に思いを寄せる香取(京本大我)だった。
ひとつ屋根の下で、紘一×いつか×香取の三角関係が繰り広げられるだけでもハチャメチャだったのに、第6話からは紘一の元妻・夏美(早見あかり)が参戦! さらに、カオスな展開になってきた。
しかも、この夏美はかなり癖が強い。外資系投資銀行のファンドマネージャーというバリキャリで、家事も完璧。おまけに美人と、超がつくほどハイスペックな大人の女性のように見えるが……実はかなりねちっこい。いつかに対して、「お付き合いの浅い人には分からないだろうけど」と“私の方が紘一のことを知っているマウント”を取っていくのだ。それなのに、はたから見たらサバサバ女子に見えるからややこしい。
だが、夏美のおかげでいつかはようやく自分の心に気づき始める。紘一のことが好きかどうか分からなかったのは、きっと彼女のなかに余裕があったから。今のところ紘一には新しい出会いがなさそうだし。誰かに奪われることもないだろう。そんなふうに安心し切っていたから、心のなかに芽生えている恋心を見て見ぬふりすることができた。
でも、彼を奪われるかもしれない相手が現れた以上、甘えてはいられない。けれど、それでも素直になれないのがいつかという人間だ。しかも、今までいがみ合ってきた相手だからこそ、余計に素直になることができない。