水川あさみは何色にも染まる 『ブラッシュアップライフ』で“不穏な雰囲気”が漂う背景
さらに2008年放送のドラマ『33分探偵』(フジテレビ系)には、堂本剛演じる探偵の助手として出演。本作は、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)や映画『銀魂』シリーズなどを手がけた福田雄一が原作・脚本・演出を担当するコメディ。物語開始直後に真犯人が判明してしまい、探偵と助手と刑事が33分という放送時間を“なんやかんや”しながら繋いでいくストーリーだ。本作では「アドリブなのでは……?」と思うような掛け合いも多く、それだけ自然な演技を出演者全員が行っている。中でも水川はボケ連発の探偵にツッコミを入れることも多く、笑いの間と勢いは完璧だった。かと思えば、2013年のラブコメドラマ『シェアハウスの恋人』(日本テレビ系)では優柔不断で要領の悪いOL役で主演を務めた。前述したどの作品とも異なる、そして本人のサバサバした印象とも違う女性像を演じたが、「こういう人いそう」と思わせる存在感を発揮していた。
『ブラッシュアップライフ』での水川は当初“謎の女”として登場したが、後に主人公の同級生だったことが発覚。第8話の予告では「人間に生まれ変わる目的以外にも人生をやり直している理由がある」と語っており、少々不穏な雰囲気もあった。“不穏な雰囲気”というのは予告内のナレーション演出によるものでもあるが、なによりの原因は水川が「どんな役でもどんな存在でも演じられる役者だから」だろう。本作では、第3話から登場した麻美の同級生・玲奈を黒木華が演じており、既婚だと隠して交際していた男性にドスの効いた口調で別れを切り出す姿が面白かった。黒木のふんわりとした雰囲気と話し口調からは想像できない声音と、「クソ」という言葉にギャップが生まれていたが、水川の場合は「サバサバしている」ぐらいしか固定化されたキャラクター像がない。だからこそ水川が演じる真里という人物が本当はどんな性格をしていて、何が目的で人生をやり直しているのか想像がつかず、“ちょっとした不穏”を感じてしまう。
『ブラッシュアップライフ』怒涛の伏線回収 水川あさみ演じる真里もタイムリープしていた
学生時代を振り返ると、一緒にいる友達に影響を受けまくっていたなぁと思う。まだ、“自分”というものが確立されていない10代。親友が…
2022年には、短編映画『おとこのことを』で監督デビューも果たした水川。2023年後期放送予定の連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK総合)では、趣里演じるヒロインの母・花田ツヤ役で、久しぶりの朝ドラ出演を果たす。どんな役にも馴染み、どんな役でも「この水川あさみが好き」と視聴者に思わせるリアルな演技をする水川。「どんな役ならまだ演じていないのだろうか?」と考え込んでしまうほど、多様で多彩な演技を魅せるのが彼女の魅力だ。
■放送情報
日曜ドラマ『ブラッシュアップライフ』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:安藤サクラ、夏帆、木南晴夏、松坂桃李、染谷将太、黒木華、臼田あさ美、鈴木浩介、バカリズム
脚本:バカリズム
演出:水野格、狩山俊輔
プロデューサー:小田玲奈、榊原真由子、柴田裕基(AX-ON)、鈴木香織(AX-ON)
チーフプロデューサー:三上絵里子
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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