『舞いあがれ!』赤楚衛二×川島潤哉は理想的な関係? 作家×編集者のダメ出し問題を考察

『舞いあがれ!』作家×編集者の関係性を考察

 連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)に、歌人である貴司(赤楚衛二)の担当編集者として登場した長山出版のリュー北條(川島潤哉)。最初は俗物的な人物だと感じさせ、嫌われ者のキャラクターのように描かれていたが、やがて貴司を深く理解する編集者だと分かり、視聴者からの評価も一気に高まった。良いものを作り上げるには、作家と編集者はどのような関係性が理想なのか、貴司と北條を通して探ってみたい。

 貴司が“短歌界の芥川賞”と言われる「長山短歌賞」を受賞した後、東京から古本屋「デラシネ」に貴司を訪ねて来た北條。スマートフォンで貴司を撮影し、「梅津さんの歌、東京の編集部でも本当に評判がいいよ。俺もね、歌の一つ一つが切実だなぁって。だから、出版する歌集は全力で売り出していきたいわけよ」と軽い口調で貴司を賛辞していたが、「まずは服装と髪形かな。今度、ちゃんとした場所で宣材写真撮ろう。スタイリスト呼ぶからさ。歌集売りたいなら、作者の顔が大事よ? せっかくの男前なんだからさ」と、外見から売り出そうと提案し、貴司を困惑させた。「リュー北條」という名前からして怪しさ満載で、視聴者は貴司を心配しつつ、一斉に警戒ムードが漂った。

 北條はデラシネを何度となく訪れ、貴司にダメ出しをする。「歌集を出したいんならさ、ちゃんと大勢に伝わる歌を書いてよ。短歌を作るってことは、自分の中の本当の気持ちを差し出すってことでしょ? 梅津さん、なんか伝えることを諦めてる気がすんだよね。自分だけの狭い世界で満足してる」と指摘する北條。さらに「自分の殻を破って、初めて歌人は成長する。自己満足の歌はもう要らない。1人でも多くの人間に伝わる歌を書いてほしい。梅津さん、成長しないと。いつまでも同じではいられないんだよ」と発破をかけ、相聞歌(恋の歌)を書くよう要求する。

 ここまでのやり取りだけを見れば、ともすれば無理やり編集側の希望を押し付けているようにも捉えられる。結果的にはこれらのダメ出しが貴司の成長に繋がるのだが、この時点では貴司はさらに頭を抱えることになる。こうしたリュー北條の態度に反感を覚えた視聴者も多かったのではないだろうか。

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