『バビロン』はデイミアン・チャゼル史上最大規模? フィルムでの撮影を解説する特別映像

『バビロン』チャゼル監督がフィルム撮影を解説

 2月10日に公開される『バビロン』より、デイミアン・チャゼル監督がフィルム撮影でのこだわりを解説する特別映像が公開された。

 本作は、『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞監督賞を史上最年少で受賞したデイミアン・チャゼル監督の最新作。ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーらをキャストに迎え、再びハリウッドを舞台に夢と音楽を描く。

 1920年代、サイレント映画からトーキー映画に移り変わる狂乱のハリウッド黄金期を舞台に、映画業界で夢を叶えようとする男女の運命を描く本作。ゴージャスでクレイジーな世界を徹底して描いていく本作は、チャゼルが映画監督を志しLAにやってきた約15年前から構想していた“夢”を具現化する集大成とあって、『ラ・ラ・ランド』などを凌ぐ、過去に類を見ないほどの最大規模で仕上げられた。

映画『バビロン』特別映像(撮影編)

 台詞のある役が100名以上登場する本作のキャスティング担当には『ファースト・マン』でキャスティング・ディレクターを担当したフランシーヌ・メイズラーが起用されたが、膨大な人数のキャスティングは一筋縄ではいかなかった模様。「役柄の数という点において、これまでの作品の中で最大のキャストだった。台詞のある役が多すぎると、フランシーヌによく怒られた。でも彼女はなんとかして、その一つ一つに素晴らしい人々を起用してくれた」とチャゼル監督は魅力溢れるキャラクターを減らしたり譲ったりすることなく、メイズラーの人選の良さをとことん信頼し、労いの言葉をかけている。なお、映画の中でジャック(ブラッド・ピット)と結婚する多くの女性のうち、最初の妻であるイナ・コンラッドを演じているオリヴィア・ワイルドの起用を提案したのもメイズラーの手柄だったそう。

 また、本作には様々なパーティーシーン、MGMの巨大戦場セット、すぐ隣あわせで何本もの同時並行撮影が進んでいるキノスコープの野外スタジオ、満席の映画館や街の雑踏など、膨大な数のセッティングで何千人もの背景キャストが必要だった。このおびただしい数のキャストは、エキストラ・キャスティングディレクターのサンデ・アレッシが、ロサンゼルス中で特異な顔ぶれを探し出すことで実現させたという。それぞれのパーティーシーンは一人残らず慎重にキャスティングされ、チャゼル監督と彼のチームは、これらのシーンごとにマッチした独特の雰囲気を与える顔のギャラリーを作るために、ボードをヘッドショット写真で埋め尽くして進行するという徹底ぶりであった。

 壮大な物語の中の、膨大な数となったキャスト&エキストラの細部にわたる衣装を作り上げたのは、『ラ・ラ・ランド』『ファースト・マン』に続き、本作がチャゼル監督と3度目のタッグとなる衣装デザイナーのメアリー・ゾフレス。「着ている衣装によって、キャラクター自身が大きく定義される種類の映画だ。ストーリーの中のさまざまな転機において、キャラクターを十分に考慮した象徴的な衣装を作り上げるべく、とても苦労したんだ」とチャゼル監督が語るように、本作のヒロインであるネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)の衣装は特に印象的なものばかり。第95回アカデミー賞衣裳デザイン賞にノミネートされている本作の衣装について、ゾフレスは「キャストは250人で、メインキャラクターは何度も衣装を替える。最終的に7000着もの衣装を作った。これまで手がけた中でも最大の数よ。そして多くのスタッフが同じことを口にしていた。この作品がこれまでで最大の規模だったと」と語っている。

 さらに、第80回ゴールデングローブ賞で作曲賞を受賞、第95回アカデミー賞でも作曲賞にノミネートされている音楽を手がけたのは、チャゼル監督と全作品でタッグを組んでいる作曲家のジャスティン・ハーウィッツ。「『バビロン』に独自の音楽世界を与えたいと考えていた。誰も1920年代から抜け出せないような時代錯誤な音とも、古風な20年代のジャズのありふれた描写ともかけ離れたものをね。物悲しいトランペット、扇情的なサックス、さまざまなロックンロールのリフやモダンなダンスビートなど、ワイルドで快楽主義的な映画の世界観にマッチした新しい融合音楽になっていることを願うよ。その結果、いつか皆がこの音楽を“バビロンみたいな音楽”だと思ってくれると嬉しい」と、リサーチに長い時間を費やし、当時の音楽とは似て非なるオリジナルのサウンドを模索した挑戦的な楽曲制作に、ハーウィッツは自信と希望をのぞかせる。また、本作ではチャゼル監督が作り上げた脚本とストーリーボードをもとに、3年以上もの歳月をかけて、2時間を超えるオリジナル音楽を作り上げたハーウィッツだが、そのスタイルは長年チャゼルと仕事をするうちに習慣となったもので、最終的には『ラ・ラ・ランド』の2倍以上もの音楽が『バビロン』のために産み出された。

 公開された映像には、チャゼル監督が自身最大規模に詰め込んだこだわりを、最も美しく、そして余すことなく捉えるため、徹底した“フィルム撮影”を敢行した撮影現場の貴重なメイキングも。チャゼル監督は「ジェットコースターのように壮大で過激な映像が大画面に映し出される。フィルムだから美しいんだ」と力説している。

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■公開情報
『バビロン』
2月10日(金)公開
出演:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョヴァン・アデポ、リー・ジュン・リー、P・J・バーン、ルーカス・ハース、オリヴィア・ハミルトン、トビー・マグワイア、マックス・ミンゲラ、ローリー・スコーヴェル、キャサリン・ウォーターストン、フリー、ジェフ・ガーリン、エリック・ロバーツ、イーサン・サプリ―、サマラ・ウィーヴィング、オリヴィア・ワイルド
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
製作:マーク・プラット、マシュー・プルーフ、オリヴィア・ハミルトン
製作総指揮:マイケル・ビューグ、トビー・マグワイア、ウィク・ゴッドフリー、ヘレン・エスタブルック、アダム・シーゲル
配給:東和ピクチャーズ
©︎2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
公式サイト:babylon-movie.jp
公式Twitter:@paramount_japan
公式Instagram:@paramount_japan

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