『トムとジェリー』実写と2Dの“楽しい融合” 理想的なCG表現となった要因とは?

『トムとジェリー』なぜ理想的なCG表現に?

 過去の短編シリーズから続く2匹のケンカは本作でも健在だが、作中では仲良く行動しているシーンも描かれる。短編作品でもトムがジェリー以外から一方的にやられ続けている場合、ジェリーが助けてくれるエピソードも存在する。本作ではクロエ・グレース・モレッツ演じる主人公のケイラがケンカし続ける2匹に対し「そんなこと何年やってるの」と呆れる場面もあり、皮肉の効いた指摘に思わず笑ってしまう。また昔から2匹が協力すると物事がうまく解決することも多く、本作でもトムとジェリーのポジティブな関係性が物語を大きく動かす役割を担っている。

『トムとジェリー』©2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 実写と2Dを融合させた作品は過去多く制作されているが、本作の映像的な見どころはなんといっても2Dアニメーションやコミックなどでよく見る“乱闘騒ぎになった際に煙が立ち、キャラクターがポコスカし続ける”演出と、そこに人間のキャストが参加しているシーンだろう。2次元作品でよく見るあのポコスカしているシーンを人間も交えて無理なく再現している様は圧巻であり、「よく観るやつ!」と思わず興奮するに違いない。ちなみにポコスカするシーンは劇中で「動物トルネード」と呼ばれているが、あの演出に正式な名前があるのか気になるところだ。

『トムとジェリー』©2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 本作はトムとジェリーが人間の世界にやって来るわけではなく、もともとその姿形で私たちの世界にいるという設定だ。また短編シリーズで印象深いバイオレンスなケンカは少々控えめになっているため、アニメーションのイメージが強い人ほど最初は本作を受け付けられないかもしれない。しかし、2匹がニューヨークの街を自由自在に駆け回り、観光し、仲良くケンカする様子は「2匹が現実にいる」というなによりも素晴らしい楽しさを提供してくれる。

参照

※. https://realsound.jp/movie/2021/02/post-714167.html

■放送情報
『トムとジェリー』
日本テレビ系にて、2月10日(金)21:00~22:54放送
監督:ティム・ストーリー
脚本:ケイティ・シルバーマン、エイプリル・プロッサー、ケビン・コステロ
キャラクター創造:ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ
出演:クロエ・グレース・モレッツ、マイケル・ペーニャ、ロブ・ディレイニー、コリン・ジョスト、パラヴィ・シャルダ、ケン・チョン、ジョーダン・ボルジャーほか
©2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

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