『ワタシってサバサバしてるから』なぜ丸山礼の虜になってしまうのか? 豪快な網浜の魅力

『ワタサバ』なぜ丸山礼の虜になるのか?

 「ワタシって、サバサバしてるから!」が口癖の主人公・網浜奈美が大暴れするオフィス“あるある”を描いたドラマ『ワタシってサバサバしてるから』(NHK総合)が現在放送中。本作はWeb漫画が原作で、一時期は見ない日がないほどの頻度でネット上に広告が出現し、網浜の強烈なキャラクターと真のサバサバ女・本田麻衣のやり取りが面白がられていた。今回実写ドラマ化されるにあたり、主人公の網浜をお笑いタレントの丸山礼が、本田をトリンドル玲奈が演じており、原作のエッセンスを絶妙に取り入れたビジュアル再現度が見事だと感じる。

 本作は“自称サバサバ女”である網浜が、猪突猛進で底抜けにポジティブで破天荒な振る舞いを繰り広げる「オフィスあるあるコメディ」と銘打たれてはいるが、全くあるあるではない。第1〜2話ではミソジニー(女性嫌悪)の構造を感じる部分があったものの、それがこのドラマの本筋ではないことが話数を重ねるごとに感じられた。両肩にバナナを1房ずつ乗せたりロデオマシンに乗りながら仕事をしたりと網浜の破天荒っぷりはとにかく突き抜けており、「あるある」という枠をも突き抜けて「こんな人絶対にいない」と感じるキャラクターに仕上がっている。

丸山礼演じる“自サバ女”が愛おしくなる 『ワタシってサバサバしてるから』の不思議な魅力

読んだことはなくても、誰もが一度は目にしたことがあるであろう漫画を原作とした丸山礼主演のドラマ『ワタシってサバサバしてるから』(…

 第2週の放送では、網浜が社のコンペ企画提出のため同僚の案を盗むというとんでもない行為を働いた。観ているこちらとしても「網浜さんそんなことしちゃうの」と引いてしまうような内容だったことは間違いないが、それでもやっぱり心の底から網浜を嫌いにはなれない、むしろ面白くて好きだと感じる視聴者の方が多いはずだ。それは原作の時点で形作られている網浜の破天荒キャラに加え、ドラマでは丸山が演じているからという理由に他ならない。

 本作はセリフを言い終わってもなかなかカットがかからず、出演者たちがアドリブで間を繋いでいると思われる場面が多い。この部分を先導しているのは主に丸山だが、発言や態度などが網浜らしかったり丸山らしかったりと揺れているため、これが網浜にも丸山にも「面白くて好き」と感じる要因になっているのだ。丸山が繰り出す面白いアドリブに対応する出演者はカメラから顔を背けたり、思わず笑ってしまったりしており、それがなんとも和やかで「みんな本当に網浜さんを嫌っているわけではなさそう」とも思わせてくれる。そもそも今作はコメディドラマだが、アドリブの間を挟み物語を淡々と進めないことで、私たち視聴者がより網浜を好きになってしまうという構図が意図的に作られているのだろう。

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