『リバーサルオーケストラ』序盤最高潮の盛り上がり 田中圭の繊細かつダイナミックな指揮
ドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系)が回を増す毎に面白くなってきている。第3話は、序盤のクライマックスというような最高潮の盛り上がりだ。
その最大の見せ場となったのが、新生・児玉交響楽団(通称「玉響」)の初舞台、「威風堂々」の演奏シーンである。特別編集版としてTVerに約4分半の演奏シーンのみが公開されているので、未見であればぜひそちらを観てほしいところだが、神奈川フィルハーモニー管弦楽団による演奏はもちろんのこと、俳優陣のパフォーマンス、特にマエストロの朝陽(田中圭)の繊細かつ時にダイナミックな指揮は理屈抜きに胸を打つものがあった。さらに演奏後の、もはや彼の伝家の宝刀とも言える微笑み。第1話での初音(門脇麦)との握手、第2話での蒼(坂東龍汰)の下宿先が決まった際の人知れずの笑みと、毎話恒例となってきているが、ついにオケのメンバーに向けてその笑みが放たれた。それはスタンディングオベーションとなった会場からの賞賛の空気を受けての満面の笑顔。いつしか朝陽にも玉響に対して“僕のオケ“という自覚が芽生えていたからこそ、いつもしかめっ面ばかりだった彼の頬が思わず緩む。と同時に朝陽も拍手で玉響の演奏を讃えていた。「僕のオケを評価できるのは、僕と客席の聴衆だけです」――笑顔と拍手はその評価ということだろう。
公演までにはオケを支える土台であり、大黒柱とも言われるティンパニストが突如いなくなったりと波乱づくめだったが、新たなティンパニスト・藤谷耀司(渋川清彦)がメンバーに加わり、本番当日を迎えた。玉響が満員の会場で演奏するのは5年ぶりとなるが、初音がステージでヴァイオリンを弾くのは10年ぶり。かつての光景が初音の脳裏をよぎる。「無理……やっぱり無理」と再び逃げ出そうとする初音の前に立っていたのは朝陽。「逃げますか。10年前と同じように」「大丈夫です。一人じゃない。僕たちはオーケストラです」と初音を自ずとステージへと向かわせる。演奏前に朝陽が握手とともに初音に投げかけた「おかえり」の言葉。トラウマを克服し楽しそうにヴァイオリンを弾く初音の表情が印象的だ。
また、第3話では意外なキャラが活躍していた。それがチェロ主席の佐々木玲緒(瀧内公美)。第2話にて過剰な思い込みから朝陽に惚れ込んでしまった玲緒は、若干……というかかなり情熱的なキャラクターへと変貌した。朝陽に良く思われたい玲緒は初音のティンパニスト探しにも積極的に参加し、公演当日には露出の多いドレスで参加。当然、朝陽の笑顔にはヴィオラの桃井みどり(濱田マリ)と大興奮だ。初音のことを一人だけ「初音っち」と呼んだりと、ユニークな人物となってきている。