『100万回 言えばよかった』佐藤健の本音に胸が詰まる 井上真央が白いねこに託した願い

『100万回 言えばよかった』佐藤健の本音

 世の中には「言わなければわからないこと」と「言わなくても伝わること」がある。その違いは、どれだけその相手と同じ風景を見てきたかどうかなのかもしれない。

 金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系)第2話。幽霊になってしまった直木(佐藤健)の存在を感じることができた悠依(井上真央)が、直木の身に一体何が起きたのかを刑事の譲(松山ケンイチ)と共に突き止めようとする姿が描かれた。

 自分も幽霊としてその場にいるとはいえ、悠依と譲が部屋に2人きりになってしまうという状況が面白くない直木。だが、自分の手では悠依に触れることもできず、直接言葉をかけることもできない。彼女の涙を拭うためのティッシュを渡すことも、彼女に言葉を伝えることも譲の協力を得ないと叶わないのだ。それがどれほどもどかしいことか。

 改めて、思い返される当たり前にあった日々。2人で絵本の『100万回生きたねこ』を見返した温かな風景。そこで悠依が言っていたことを思い出す。もし悠依が“白いねこ”だったら、愛する者には自分の後を追うように逝くのではなく「100万回泣いたあとは元気にピンピン生きていってほしい」と。

 その当時は「薄情だって言いたいんでしょ?」「なんでわかんのよ」なんてふざけあったけれど、直木の口からは「すごく好きだって言えばよかった」とつい本音がこぼれ落ちる。そんなドキッとする言葉を聞いた譲は悠依に伝えたほうがいいのかと直木を見つめる。すると、直木は「(悠依に)言わなくていいです」と睨みつけるのだった。

 最初はそれが直木の照れ隠しなのかと思ったが、もしかしたらその「好き」という言葉を通じて譲と悠依が近づく雰囲気になってしまいそうで、さらに面白くなかったのかもしれない。そのあたりの確証が得られないのは、私がまだ直木のことをそこまで知らないからだろう。

 でも、悠依はわかっていたはずだ。直木が「(薄情だって言いたいって)なんでわかんのよ」なんて言いながら、そこが悠依のいいところだと思ってくれていることを。それだけ、2人の間には積み重ねられてきたものがあるのだから。悠依が今、直木の存在を感じながら独り言を話すと、聞こえないはずの直木の言葉と驚くほど噛み合うように。

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