『100万回 言えばよかった』佐藤健の本音に胸が詰まる 井上真央が白いねこに託した願い

『100万回 言えばよかった』佐藤健の本音

 だからこそ、直木の記憶が失われた7時間に何があったのか。悠依にも全く見当がつかないことが不可解でならない。直木のパソコンに同期されていたスマホのメール。そこにはかつて悠依と直木と共に里親の家で過ごした尾崎莉桜という女性と、直木が会おうとしていた様子が残っていた。

 そして、次々と悠依の知らない直木の行動が紐解かれていく。里親の勝(春風亭昇太)から莉桜の私物を返してほしいと頼まれていたこと。その箱のなかには出どころのわからない500万円という大金が入っていたことも……。

 さらに直木が莉桜の連絡先を知る唯一の手がかりである、中学時代の友人・高原涼香(近藤千尋)に接触した事実が明らかに。しかし、直木が会いに行ったときには涼香はすでに殺されていたようなのだ。一方、極度のストレスを抱えていた悠依は病院へ。そこには偶然知り合った医師の宋夏英(シム・ウンギョン)の姿があった。しかも、この夏英はどうやら譲に見覚えがあるようだった。思わぬところで新たな線がつながっていく。

 また、「生き返る方法を教えようか?」なんて意味深な言葉を発する謎の男(板倉俊之)の存在も目が離せない。どうやら彼も幽霊になってしまったようだ。しかも自分が亡くなってしまったこと、成仏できずにこの世にいる自覚がある事実も発覚した。この謎の男と同じようにやっぱり直木の肉体はすでに……? いや、まだハッキリとはしていないのだからわからないではないかと思いたい……。でも……と、そんなわけのわからないまま悠依にストレスをかけ続けるわけにはいかないと決意した直木。

 かつて悠依は『100万回生きたねこ』に目を通しながら言ったのだ、「100万回泣いたあとはピンピン生きていってほしい」と。そう話していた2人だからこそ、直木がどんな思いで「俺が死んでたとしても。前に進もう」と言ったのかが、悠依にもわかったのだろう。どんな真実が待ち受けているとしても、愛する人にはピンピン元気に生きていってほしいから。

 直に触れられなくても、直接言葉を投げかけられなくても、これまで共に見てきたものが、食べてきたものが、一緒に過ごしてきた時間たちが、たとえ姿が見えなくなってもなお、その人の想いを伝え続けるのかもしれない。謎が謎を呼ぶ事件の真相、そして少しずつ明かされていく直木の記憶に、100万回涙を流す結果にならないことを今は祈るばかりだ。

■放送情報
金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:井上真央、佐藤健、シム・ウンギョン、板倉俊之(インパルス)、平岩紙、春風亭昇太、荒川良々、松山ケンイチ
脚本:安達奈緒子
プロデューサー:磯山晶、杉田彩佳
演出:金子文紀、山室大輔、古林淳太郎
編成:中西真央、吉藤芽衣
主題歌:マカロニえんぴつ「リンジュー・ラヴ」(TOY’S FACTORY)
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/100ie_tbs/
公式Twitter:@hyakumankai_tbs
公式Instagram:hyakumankai_tbs

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