『100万回 言えばよかった』井上真央×佐藤健×松山ケンイチの演技力が光る 衝撃的な展開も

『100万回 言えばよかった』直木の思い

 人生には限りがある。その終止符は、いつやってくるか誰にもわからない。そうわかっているはずなのに、私たちは変わりなく明日がくることを、次の誕生日を共に迎えることを信じてやまない。そして、つい忘れてしまうのだ。この日常がどれだけ愛しく、尊いものか。誰かに想いを伝えられることが、どれだけ幸せなことか。

 金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系)がついにスタートした。第1話で描かれたのは、悠依(井上真央)と直木(佐藤健)の運命的な恋。それぞれの家庭の事情から、中学生時代に里親の家で暮らしていた2人は、大人になって20年ぶりの再会を果たす。それまで離れ離れになっていたのが信じられないくらい、隣にいることが自然に感じられる相手。目と声で、いつもと違う体調の変化までも察することができる。言葉なんていらない、そんなふうに言いたくなるくらい相思相愛だった。

 きっとこのままずっと一緒にいるのだろう。でもそれはまだ言葉になっていない“願い”にも近い想い。いつも「そういうのはちゃんと言わなきゃでしょ」と直木の考えていることまで先回りして言ってしまう悠依。だが、やはり一生に一度の大事な決意は直木の口から聞きたいと、34歳の誕生日に悠依はじっと直木の帰りを待っていた。

 だが、直木はすぐそばにいるのに、悠依には気づいてもらえない。声をかけても、手を伸ばしても、すり抜けてしまって届かない。なぜ自分がこんな状態になったのかもわからず、さまよい続ける直木。恋人が突然いなくなってしまいどうにかなってしまいそうな悠依。そんな2人の間に、刑事の譲(松山ケンイチ)が巻き込まれていく。

 幽霊が見える家系に生まれた譲だが、それまで一度もそんな経験はなかった。だが、なぜか直木の姿が見えるし、会話ができる。誰ともコミュニケーションが取れなかった直木にとっては、まさに渡りに船。どうにか悠依にコンタクトを取ってほしいと願うが、なにせ譲も初めてのことでうまくいかない。

 もっとうまく伝えてくれとせっつく直木と、どうして自分がこんなことに付き合わなければならないんだと困惑している譲のドタバタ劇に、一瞬微笑ましくなってしまう。だが、「それ(幽霊が見える)って直木が亡くなったって言ってるようなもの」という悠依の切ない表情に胸が詰まる。

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