『エルピス』村井の怒りに見えた一筋の希望　最終回の鍵を握るのは鈴木亮平演じる斎藤

最終回の鍵は斎藤が握っている

　そして、そこで立ちはだかるのが、斎藤（鈴木亮平）だ。抜群の政治センスで権力者の階段を登りはじめた斎藤。浅川、岸本、村井が同一線上にいるのに対し、斎藤の立っている場所はまったくそれと交わらないところにある。佐野亜裕美プロデューサーが「ホモソーシャルの頂点に君臨しているような人」と形容する斎藤は、他のキャラクターに比べて弱さや迷いがほとんど描かれてこなかった。（※）

　誰よりも近くで大門の不正を見てきた斎藤は、権力の横暴についてどう思っているのか。そもそもなぜ斎藤はテレビ局を目指したのか。もしそこに報道への憧れやジャーナリストとしての使命感があったとしたら、そしてそれが今も斎藤の中に少なからず残っているのだとしたら。パンドラの箱に最後に残っていたのは、斎藤なのかもしれない。

　相克の立場となった浅川と斎藤が最終回でどんな言葉を交わし合うのか。きっとそこに『エルピス』のすべてがつめられているのだろう。緊迫と高揚の時間になるに違いないその対峙を心して見届けたい。

■放送情報
『エルピスー希望、あるいは災いー』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00～放送
出演：長澤まさみ、眞栄田郷敦、三浦透子、三浦貴大、近藤公園、池津祥子、梶原善、片岡正二郎、山路和弘、岡部たかし、六角精児、筒井真理子、鈴木亮平ほか
脚本：渡辺あや
演出：大根仁ほか
音楽：大友良英
プロデュース：佐野亜裕美（カンテレ）
制作協力：ギークピクチュアズ、ギークサイト
制作著作：カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト：https://www.ktv.jp/elpis/
公式Twitter：@elpis_ktv