2022.12.22 12:00

畠中祐×武内駿輔が語る、『ルパン』の“ジャズ”な魅力　演技は「グルーヴ感を大事にした」

文・取材＝すなくじら、写真＝はぎひさこ

バディとしての信頼関係

――『LUPIN ZERO』の完成映像をご覧になったときの感想はいかがでしたか？

武内：音楽、演出、映像……その全てが本当に素晴らしいと思いました。ただ、僕ら的にはね……。

畠中：「もっとルパンになれたかもしれない」「もっと次元になれたかもしれない」って探し始めたら止まらない（笑）。

武内：もちろん、演技に後悔はないです。良いものを残せたとは思うんですけど、見返すとどうしても欲が出てきてしまって。

畠中：みなさんがどう受け取ってくれるのかがわからないから、反応がストレートに怖いですね（笑）。ただこの作品は、僕らを含めた作り手の熱量がとても高くて。監督が元々ルパンの作品のファンで、そこに集まってきた制作メンバーって、もうルパンファミリーじゃないですか。僕らはそこに混ぜてもらった感じです。

武内：一生懸命考えすぎて、自分たちは正直、もう正解がわからない域にいます（笑）。完成映像がハイクオリティだったからこそ、もっともっと上を目指したくなりますね。

――特に力を入れた場面はありますか？

武内：特定のシーンというよりは現時点でできることは作品の中に全部置いてきました。自分がこの作品を通じてどう観られたいかとかは全く抜きで、僕らができる全力を置いてきた感覚があります。全シーンにおいて、嘘のない作品です。

畠中：本当にそう。もう全てが燃え尽きたかと思うくらいの熱量で、全力で取り組んだ作品です。

――ルパンと次元はお互いを高め合い、支え合う関係のバディですが、お二人が互いに尊敬している点を教えてください。

畠中：好きなものへの探究心の凄まじさです。とにかく徹底的にやるからこそ、吸収力が底無しで。今回だと次元の一つの音に対しても「こんなところまでやってくる？」ってところまで突き詰めて勉強してくるんです。この原動力の根本って“大好き”があるからだと僕は考えているんですけど、だからこそ、響いてくる音の深さが同世代の中でも群を抜いてますね。好きを結果に昇華できる才能に対して「これは敵わないよな」と思います（笑）。

武内：僕は好きで“探究”をしているんですけど、祐は、たとえ嫌いでも芝居をやっていたと思っています。役者としての運命が決まってたというか、芝居と魂が同化しているんです。芝居が生命力そのものになっている点が、僕が持っていない部分だと思います。祐は歌が上手いし、ダンスもできるし、音楽に対しての追求心もある。でも最終的に、役者の道を捨てることはできなかったと思います。芝居をとことん突き詰めていく姿勢を尊敬しています。

――最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします。

武内：今回の『LUPIN ZERO』は、特にルパンシリーズを今まで観たことがない人のスタートにぴったりな作品だなと思います。ジャズとかクラシックとか言いましたけど、ポップミュージックの感覚で、ぜひ気軽な気持ちで観ていただきたいです。

畠中：ルパンという存在がいつの時代にも姿かたちを変えて適応してきたからこそ、色々な顔のルパンがいると思うんです。そんな中でも、『LUPIN ZERO』のルパンは一番初々しい姿です。もちろん、『ルパン』シリーズのスタートとして観る作品としても相応しいと思いますし、今までルパンを理解しにくいと思っていた人にも彼の人間らしさが伝わる作品だと思っています。僕はこの作品に出会えて良かったと心から思っているので、皆さんにもぜひこの感覚を体験していただけたら嬉しいなと思います。

■配信情報
『LUPIN ZERO』
DMM TVにて独占配信中
原作：モンキー・パンチ
監督：酒向大輔
出演：畠中祐、武内駿輔、早見沙織、行成とあ、安原義人、古川登志夫
シリーズ構成：大河内一楼
設定考証：白土晴一
キャラクターデザイン：田口麻美
美術監督：清水哲弘、小崎弘貴
色彩設計：岡亮子
撮影監督：千葉洋之
編集：柳田美和
音響監督：丹下雄二
音響効果：倉橋裕宗
音楽：大友良英
メインテーマ：「AFRO”LUPIN’68″」（作曲：山下毅雄、編曲：大友良英）
エンディングテーマ：「ルパン三世主題歌II」（歌：七尾旅人、作曲：山下毅雄、編曲：大友良英）
劇中歌：「かわいい男の子」（歌：SARM、作詞・作曲：荒波健三）
アニメーション制作：テレコム・アニメーションフィルム
製作：トムス・エンタテインメント
原作：モンキー・パンチ ©TMS
公式サイト：https://lupin-zero.com/
公式Twitter：@lupin_zero