『舞いあがれ!』で憧れるパイロットの姿 名作映画で空飛ぶロマンはどう描かれてきた?
空を飛びたいと思ったこと、誰でも一回はあるのではないだろうか? 朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)の舞(福原遥)のような熱量はなくとも、筆者は鳥になって飛んでいきたいと思ったことは何度もある。その妄想を、現実にしようと奮闘する人間たちを描いているのが、まさに『舞いあがれ!』ではないだろうか。
主人公の舞を含む航空学校の学生たちは、座学を終え次々と一人で大空に飛び立っていった。同じチームだった水島(佐野弘樹)が中間試験で“フェイル”となり、いかに厳しい世界であるか現実を目の当たりにすることになった。
一方、Netflixで話題のドラマ『First Love 初恋』でも、晴道(佐藤健)が航空自衛隊に入隊し空を飛ぶことを夢見ていた。ヒロインの也英(満島ひかり)もCAになりたいと思っていて、大人になってからも「私、子供のころからずっと空港のそばに住んでて、この音聞くと妙に落ち着くんです」と、そんなことまで言っていた。二人で空を見上げながら。
舞のような民間の旅客機のパイロットだけでなく、晴道のように救援や人々を守るためのパイロットなど、世の中には色々な形で空を飛んでいる人間たちがいる。そんな彼らにきっかけを与えた映画作品も多くあるに違いない。実際、パイロットを題材にしていたり、かっこよく演出している映画は多いものだ。
記憶に新しい作品は、間違いなく『トップガン』シリーズだろう。海軍の飛行士マーヴェリックを主人公に描いており、1986年と2022年公開の2作品を比較しても衰えを感じさせないトム・クルーズの操縦演技は見事なものだった。
では、民間の飛行機やヘリコプターはどうだろうか。トム・ハンクス主演の『ハドソン川の奇跡』は、実際にニューヨークのハドソン川に不時着した飛行機のパイロットをモデルに描かれている。確率的に考えて車よりも安全な乗り物とはいえ、途中で駐機をすることができない飛行機では、非常事態におけるパイロットの判断が運命を左右することになる。
邦画では『ハッピーフライト』が挙げられる。CAたちの奮闘記ともいえる作品だが、冒頭、早速機器の故障というトラブルに見舞われる、というシミュレーションから始まる。実際に空港の内部がどうなっていて、パイロットはどのようなOJT教育を受けているのか。また整備士やグランドスタッフ、管制官などたくさんのスタッフたちが関わって飛ぶことができているということも、この映画から理解できる。