『今日のウェブトゥーン』キム・セジョンが愛ある編集者を熱演 名作お仕事ドラマが誕生

お仕事ドラマの名作『今日のウェブトゥーン』

 11月29日からPrime Videoで配信が始まった韓国ドラマ『今日のウェブトゥーン』。新たな“お仕事ドラマ”の名作が誕生した。

 韓国の若者の間で社会現象を起こすほど人気のあるウェブトゥーンを題材に、松田奈緒子の人気コミック『重版出来!』(小学館刊)の韓国ドラマ化で注目される本作。業績が悪く、会社のお荷物状態になっているウェブトゥーン部で奮闘する編集者たちのリアルを全16話(Prime Videoでは32話で配信)で描いている。

 主人公の新米編集者で元柔道選手のオン・マウムを演じるのは、『社内お見合い』でコメディエンヌとしての実力をみせつけたキム・セジョン。

そしてマウムと同期入社のエリート新入社員、ク・ジュニョンを『恋慕』で注目されたナム・ユンスが、マウムとジュニョンの上司で、ウェブトゥーン部の副編集長、ソク・ジヒョンをチェ・ダニエルが演じている。(以下、ネタバレあり)

キム・セジョンが愛にあふれた編集者を熱演

 セジョンは『社内お見合い』などでユーモラスな演技を披露しコメディセンスを見せつけてきた。本作でもその明るさは健在だ。

 柔道の韓国代表として将来を嘱望されていたマウムは、ある試合をきっかけに柔道から距離を置いていた。心に深い傷を負ったセジョンが見つけた新たな道が、大好きな漫画を仕事にすること。紆余曲折を経て大手IT企業NEONのウェブトゥーン部で働くことになる。

 柔道一筋だったマウムがいきなり編集者(PD)となるのだから、失敗も多い。しかしマウムは柔道で培った精神を仕事に上手く活かし天性のものといえる優しさで、会社のお荷物だったウェブトゥーン部を復活に導き、かつウェブトゥーン作家たちを支える編集者に成長していく。

 お仕事ドラマでありがちな主人公の猪突猛進ぶりは、セジョンが演じるマウムからあまり感じられない。もちろんヒロインらしく元気ではつらつとしているが、強引さがないため心地良さがある。そしてマウムがとる行動の一つひとつに共感ができるため、観ている側はマウム自身、あるいはマウムを見守る先輩編集者になった気分で物語を観続けることができるのだ。マウムがあふれんばかりの愛情でウェブトゥーン作家に接する姿に、時に涙してしまうこともあるだろう。

 そしてなんといっても、今回の役どころである元韓国代表の柔道選手というのが、マウムを演じるセジョンにぴったりとハマっているのがすごい。物語では、ところどころに柔道シーンが登場。柔道で一本勝ちをするシーンはさすがにセジョンが演じているわけではないだろうが、組み手は本人が演じており、柔道家の雰囲気がよく出ていて上手い。

 柔道選手として挫折を味わったマウムが、新たな道に生きがいを見つけ、過去の傷と向き合うまでに成長していく姿をはつらつと演じるセジョン。彼女が本作の魅力を倍増させていることは間違いないだろう。

マウムを見守る2人の男性

 マウムと同期入社で、エリート社員として期待されているク・ジュニョン(ナム・ユンス)とウェブトゥーン部の副編集長ソク・ジヒョン(チェ・ダニエル)。対照的な2人の男性がマウムを見守り、物語を盛り上げている。

 成績優秀な新入社員として入社したジュニョンは、廃部寸前のウェブトゥーン部に配属になったことに納得がいかない。しかも漫画には苦い想いがあり興味を示せず、仕事にやりがいを感じることができなった。生き生きと仕事をするマウムに対して焦りも覚えている。

 対して副編集長のジヒョンは、編集者の仕事を天職と感じている仕事熱心な人物。旧知の仲である編集長のチャン・マンチョル(パク・ホサン)の右腕としてウェブトゥーン部を引っ張り、マウムの教育係として編集者の何たるかを教えていく。

 ジュニョンを演じるナム・ユンスは、難しい役を好演した。何かと上司に突っかかっていく姿を見て、弱小ウェブトゥーン部に配属になったのがそこまで気に入らないのかと少々うんざりしたが、少しずつジュニョンの悲しい過去が明らかになるにつれ「なるほど。そういうことだったのか」と納得。そして、同期として生き生きと働くマウムに対して嫉妬心や焦りがあったものの、彼女の働き方や考え方に共感していく姿を、ユンスは繊細に演じてみせた。

 一方マウムの教育係として厳しくも温かく接するジヒョンを演じるチェ・ダニエルは、大人の男性の魅力たっぷりだ。マウムが一人前の編集者になるよう、的確なアドバイスをする一方で、決してワンマンではなくマウムの意見にも耳を傾ける。包容力のある姿に「こんな上司がいてくれたら……」と思う人も多いだろう。

 爽やかな笑顔と186センチでスタイル抜群の姿が随所でクローズアップされるのは、ファンにとってうれしいところではないだろうか。

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