『今日のウェブトゥーン』キム・セジョンが愛ある編集者を熱演 名作お仕事ドラマが誕生
登場人物のバックグラウンドを丁寧に描く脚本
本作で特筆すべきは、登場人物のバックグラウンドを丁寧に描いているところだ。前述のマウム、ジュニョン、ジヒョンはもちろんのこと、編集部員たちが担当する個性豊かなウェブトゥーン作家や、新たに発掘した新人ウェブトゥーン作家の人生を興味深く深堀りして描いている。
30年も連載を続け巨匠と呼ばれるベテラン漫画家がデジタル化に奮闘する姿や、あふれんばかりのアイデアを持っているが、常に時間に追われているため恋人とのトラブルが絶えない売れっ子中堅漫画家、若い頃から漫画家として活躍し続けているものの、友人がおらず孤独な女性漫画家。こうした“クセのある”作家たちを相手に奮闘する編集者とのやり取りが見応えがある。
締め切りを守らせるため奔走したり、作家のプライドを傷つけないようになだめたり、実際の編集者たちもこうやって頑張っているんだろうな……と想像できるリアルな姿がそこにある。こうした登場人物たちのバックグラウンドの深堀の一つひとつが、最終的にウェブトゥーン部が直面する「廃部の危機」に立ち向かっていく展開の基礎になっていく。知らず知らずのうちに登場人物に感情移入してしまう脚本に「うまいなあ……」とうなってしまった。
物語のラストで恋愛パートが……?
熱いお仕事ドラマとして展開していく本作だが、マウムに好意を寄せる男性たちが登場する。同期のジュニョンと、マウムが発掘した新人ウェブトゥーン作家のシン・テリュク(キム・ドフン)、そしてジヒョンだ。
ジュニョンはマウムと一緒に仕事をしていくうちに、マウムのひたむきさ、優しさに惹かれていく。 テリュクは、幼い頃に母親に捨てられた記憶から逃れられず、漫画を描くことだけが生きがいの青年。そんな自分を見出したマウムを「神様」と崇め慕っていく。 ジヒョンは最初、上司としてマウムを温かく見つめていたが、その視線が途中から女性として見つめているように感じたのは筆者だけだろうか。
こうした男性たちの複雑な心境は随所に織り込まれるが、マウムと直接関わっていかない。そして最終話でひっそりと自分の気持ちを温めてきたジュニョンだけがマウムに告白するシーンが描かれる。
ジュニョンの告白で驚くマウムだが、自身の気持ちをはっきり明言することはなかった。しかし、ジュニョンに見せた笑顔が、2人の未来が明るいものだと表しているように思えてならない。
■配信情報
『今日のウェブトゥーン』
Prime Videoにて独占配信中
(写真はSBS公式サイトより)