山﨑賢人、飛躍の鍵はブレない主演力 “実写化王子”からかつてない進化
相次ぐ作品の成功は演者としての山﨑により大きな自由をもたらした。又吉直樹原作『劇場』やロバート・A・ハインラインの名作を三木孝浩監督が翻案した『夏への扉-キミのいる未来へ-』では、夢を描きながら現実との狭間で葛藤する若者や過去と未来を行き来するロボット科学者として、誰もが経験する人生の挫折や失ってしまったものへの後悔、そして希望を全身で表現した。『アトムの童』で見られる松下洸平や岸井ゆきのとの演技合戦は、一面的ではない山﨑の多彩な魅力を映している。
二次元で成立した作品を実写化する際、課題になるのは世界観の移行だ。成功した作品は「なるほど、こうなるのか」という良い意味の意外性と「たしかに」という納得感が同居するものだが、キャラクター中心の作品では主要キャラの再現度が死活的に重要になってくる。この点、山﨑は絶妙で、限界まで近づけながらやりすぎないギリギリのラインを攻めており、実写化王子の異名をとるのも納得である。ただし、それ以上に主演として求められる役割をきっちり果たしていることは見逃せない。作品への洞察に裏付けられた一貫した役作りが物語の推進力を生み出している。
『今際の国のアリス』シーズン1で世界にその存在を知らしめた山﨑。シーズン2でサバイバルは加速し、山崎演じるアリスは、生き残ったウサギ(土屋太鳳)やチシャ(村上虹郎)と「ねくすとすてぇじ」に挑む。混迷を深めるシーズン2は、役者として進化を続ける山﨑の現在を目撃するまたとない機会となるだろう。
■配信情報
Netflixシリーズ『今際の国のアリス』
シーズン1:Netflixにて独占配信中
シーズン2:Netflixにて12月22日(木)より独占配信
出演:山﨑賢人、土屋太鳳、村上虹郎、三吉彩花、桜田通、朝比奈彩、恒松祐里、森永悠希、町田啓太、磯村勇斗、井之脇海、毎熊克哉、さとうほなみ、金子ノブアキ、阿部力、青柳翔、仲里依紗、山下智久
原作:麻生羽呂『今際の国のアリス』(小学館『少年サンデーコミックス』刊)
監督:佐藤信介
撮影監督:河津太郎
音楽:やまだ豊
美術監督:斎藤岩男、大西英文
VFXスーパーバイザー:神谷誠、土井淳
アクション監督:下村勇二
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆
プロデューサー:森井輝
制作協力:Plus One Entertainment
企画・制作:ROBOT
©︎麻生羽呂・小学館/ROBOT