ナースと医者、異なる視点で描く医療 『祈りのカルテ』『ザ・トラベルナース』から探る
そしてナースが主人公の『ザ・トラベルナース』にも注目したい。本作は『ドクターX』シリーズの脚本家・中園ミホが手がける作品とあり、ナースの世界を痛快医療ドラマとして描き出す。医療ものでも特に盛り上がる「高い技術や知識で患者を救う」部分を、今度は医師でなくナースを軸に描いているのだ。ナースが主人公のドラマはこれまでも多く作られており、観月ありさと松下由樹の掛け合いが楽しい『ナースのお仕事』シリーズ(フジテレビ系)、松岡昌宏の奮闘ぶりが記憶に残る『ナースマン』(日本テレビ系)、石原さとみがショートカットで挑んだ『Ns'あおい』(フジテレビ系)などがある。資格上、携われる医療行為が医師とは明確に違う看護師だが、患者に対して医療としてのケアのみならず、精神的なケア、ライフスタイルを支える役割も担っているため、ドラマの中では医師以上に患者に寄り添う姿が描かれやすい。加えて医師同様、過酷な医療現場での成長劇を見せる作品も多い。
薬剤師が主人公となった『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)、医師の資格を隠した放射線技師を主人公とした『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』シリーズ(フジテレビ系)など、医療従事者の奮闘を描く作品はまだまだある。成長物語から、痛快お仕事ドラマ、時には感動のヒューマンドラマと、作品によって毛色は違うが、誰もが一度は世話になったであろう「病院」を舞台に描かれることで多くの視聴者を惹きつける。だからこそ、誰もが、1作は心に残っている医療ドラマがあるのではないだろうか。2022年の秋ドラマもまた、魅力あふれる医療ドラマが豊作である。ぜひとも医師、看護師の活躍を応援しながら楽しんでほしい。
■放送情報
『ザ・トラベルナース』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:岡田将生、中井貴一、菜々緒、安達祐実、恒松祐里、泉澤祐希、宮本茉由、野呂佳代、池谷のぶえ、吉田ウーロン太、前原瑞樹、柳葉敏郎、浅田美代子、寺島しのぶ、松平健ほか
ナレーション:遠藤憲一
脚本:中園ミホ
音楽:沢田完
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子
プロデューサー:峰島あゆみ、大垣一穂、山田勇人、多湖亮太
演出:金井紘、片山修、山田勇人
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/the_travelnurse/