『エルピス』パンドラの箱を開けたのは我々か? ED映像の“ケーキ”が意味するもの

『エルピス』エンディング映像を考察

 ところが第3話ではエンディング映像が差し込まれなかった。単純に第3話の放送内容が普段よりも多く、エンディングを差し込むことができなかったという理由かもしれない。しかし、本編では浅川と岸本が制作した冤罪疑惑特集の映像が局長の判断によって番組内で流せないという話が主に取り上げられ、“報道される”ということについて大きな展開がなかった。メディアの報道を受け取る側の私たちにとっては知り得ない話であり、報道されなければ気付くことすらできないため、エンディング映像がなかったと仮定することもできるだろう。

 第4話では浅川が別の特集映像だと偽って冤罪疑惑のVTRを強行突破で生放送中に流し、番組の視聴率が回復。SNSでも話題になり番組へは多くの意見が寄せられ、一気に世間の注目を集めることとなった。今話のエンディングではわし掴みにしたケーキを頬張る姿が映し出されている。本編で描かれた真剣な報道姿勢と報道内容を受け、積極的に報道を信頼する姿勢がケーキの食べ方に反映されているのではないだろうか。

エルピスー希望、あるいは災いー

 このように、エンディング映像は本編の内容とうまくリンクしている。またエンディングでチェリーさんらしき人が食べているケーキは、おそらく箱に入っていたケーキだろう。箱には“パンドラ”が製造した消費期限2022年10月24日のケーキが入っているのではないかと予想できる。消費期限は本作の初回放送日であり、パンドラを開けてケーキを食べることになるのは視聴者の私たちであるとも考えられるのだ。今作ではテレビ局と政権との関わり合いや報道の信頼性、その影響力など現実に即した描き方をしており、視聴者は否が応でも普段の生活を意識せざるを得ない。“パンドラ”を開けた私たちは、本作を通してなにを考えるべきなのだろうか。

■放送情報
『エルピスー希望、あるいは災いー』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:長澤まさみ、眞栄田郷敦、三浦透子、三浦貴大、近藤公園、池津祥子、梶原善、片岡正二郎、山路和弘、岡部たかし、六角精児、筒井真理子、鈴木亮平ほか
脚本:渡辺あや
演出:大根仁ほか
音楽:大友良英
プロデュース:佐野亜裕美(カンテレ)
制作協力:ギークピクチュアズ、ギークサイト
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/elpis/
公式Twitter:@elpis_ktv

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