観月ありさの役者道を振り返る 『ナースのお仕事』から『祈りのカルテ』医師役まで
そして40代となり新境地を迎えたのが、2020年のドラマ『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)での、小姑の役だ。これまでは主演として正義の味方など、絶対的なベビーフェイス(善玉)だった観月が、敵役となり、主演の浜辺美波演じる嫁をイビリ倒す悪役となった。気が強い女性を嫌味な人物として、これまでの技術を活かした演技を見せ、重みがある演技と、登場するだけで緊張感ある貫禄、そして悪役として相手を光らせる隙のある演技を見せていく。そうした若手相手にベテランの巧さを発揮していたのが印象的だった。
また、2021年のドラマ『奪い愛、高校教師』(テレビ朝日系)では、バツイチの看護師役を演じ、ドロドロの愛憎劇の中で感情を爆発させまくる、コメディエンヌとして極地の怪演を見せる。幼い頃にとんねるずとのコントや、1991年に放送された“伝説”のドラマ『もう誰も愛さない』(フジテレビ系)で中学生にしてドロドロの愛憎劇を演じ、最後は撃たれて死ぬというクレイジーな作品を経験していたため、40代にして心にしまったパンドラの封印を解いたと言える自由な演技だ。ここ数年はマイペースにドラマ出演している印象だが、最近の自由で巧みな演技を見ていると、女優として今が一番面白い時期のように思う。
そして『祈りのカルテ』第7話では、玉森裕太(Kis-My-Ft2)演じる主人公・諏訪野の指導医となる救急救命科・柚木慧を演じる。同作は研修医たちが各専門科で研修し、指導医からの厳しくも愛のある指導を受け成長していく物語。柚木は、キャラクター紹介では「“考えるな、感じろ”がモットーで、総合格闘技をこよなく愛す、タフな女傑」と紹介されている。これまで芯の強い女性を数多く演じ、最近は若手俳優相手に悪役も演じている観月にとって、活発な指導医役はうってつけだ。敏腕な女性としての威厳ある雰囲気を醸しつつ、病院でボクシングをするなどコミカルなシーンも演じるため、これまで着々と積んできたキャリアが存分に活かされた演技を見せてくれるはずだ。
今やすっかりドジな役が似合わなくなり、姉御肌の頼れる存在となったことは、ナースから医師役に辿り着いたことで改めて実感する。観月ありさという女優はバブルの頃に誕生し、等身大であり、かつ女性が憧れる存在として活躍してきたことから、常に時代を反映してきた女優だと思う。そうした成長の背景を感じながら今週の放送を観ると、この役の深みが一層増してきそうだ。
■放送情報
土曜ドラマ『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:玉森裕太、池田エライザ、矢本悠馬、濱津隆之、堀未央奈、YU、松雪泰子、椎名桔平
原作:知念実希人『祈りのカルテ』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA)
脚本:根本ノンジ
演出:狩山俊輔、池田千尋
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、戸倉亮爾(AX-ON)
音楽:サキタハヂメ
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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