『舞いあがれ!』ロマンチスト刈谷が語る“奇跡/軌跡” 舞を強くするばんばの言葉も
ついに、飛ぶ時が、飛ばす時がきた。『舞いあがれ!』(NHK総合)第27話では、舞(福原遥)となにわバードマンの追い込みが描かれた。
記録飛行まで残り3日、無事目標体重まで落とすことができた舞。朝、自然と部室に舞と由良(吉谷彩子)が集まる風景も、舞の努力の賜物だ。彼女の一生懸命さと努力が、由良の心の壁を壊した。単純に仲良くなった二人ではなく、一方が敗れた夢をもう一方が引き継ぐ関係として、二人は一心同体かのように直前まで本番と同じくらいのセットで練習する。
なにわバードマンのメンバーは皆、舞をパイロットとして認め、彼女が楽に運転できるように改良を重ねる優しさがある一方で、由良のような同性の先輩の存在は身体的な変化を求められた舞にとって、良い相談相手になっていたはずだ。そんなことがうかがえるように、食事制限は直前までやらずに、エネルギーを蓄えるために前日から炭水化物が解禁されることを由良が話し、舞が喜んだ。男性陣はその会話から一歩距離のあるところで、着々とたこ焼き器を作る点にもデリカシーを感じる。
なにわバードマンが作るたこ焼き。学園祭で出すその味は、毎年毎年、彼らが積み重ねた絆の深さが染み込んでいるみたいだ。手際の良さも、これまでの日々があるからこそで、週タイトルにも掲げられている“奇跡”の一つがこの「たこ焼き」なのだと思う。つまり、ロマンチスト刈谷(高杉真宙)の言う通り「全員が集まること」、それこそが“奇跡”なのだ。
イカロスコンテストに出場できなくなったり、由良が怪我をしたり、刈谷が出て行ったこともあった。誰かが欠けてもおかしくなかった状況で、誰も欠けずに皆がスワン号を諦めなかったこと。この「スワン号」も「たこ焼き」と同じ、“奇跡”だ。「簡単には起きないから、それを“奇跡”と言う」と語った刈谷は、自分が一瞬諦めたからこそ、全員が集合してスワン号を飛ばす、ただそれだけのことがどれだけ“簡単”ではないかを知っている。奇跡が意味することは、“軌跡”でもあるのだ。
とにかく、たこ焼きパーティーで注目をさらったロマンチスト刈谷。一人だけ本格的に鰹節を削ったり、たこ焼き器で野菜を焼いたり、めちゃくちゃ面白い。たとえばバーベキューで周りの男性が肉ばかり焼く中で、積極的に野菜を焼くタイプというモテ素質満点なのにも関わらず、その野菜を誰にあげるでもなく自分で食べているところがまた面白い。