『舞いあがれ!』は実力のある俳優ばかり 吉谷彩子×足立英×新名基浩が込める熱量

『舞いあがれ!』吉谷彩子、足立英らに注目

 努力、友情、そして空へーーと、胸が熱くなる展開が続く朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)。いま物語の軸になっているのは、ヒロイン・舞(福原遥)が所属する人力飛行機サークル「なにわバードマン」の活躍だ。ここに集っているのは個性豊かなメンバー。本稿では、由良冬子(吉谷彩子)、鶴田葵(足立英)、空山樹(新名基浩)の3人に注目してみたい。

ヒロインの指針となる由良冬子(吉谷彩子)

 舞が「スワン号」のパイロットになるきっかけを作ったのが、“由良先輩”こと由良冬子だ。舞が入部する以前は「なにわバードマン」の唯一の女性メンバーであり、彼女の人力飛行機にかける想いは誰よりも強い。だからこそ、初登場時は舞に突っかかってきたものである。しかしそれはほんの序盤のこと。後輩である舞もまた自分と同じように空にかける想いの強い人間なのだと知り、ケガにより諦めざるを得なくなったパイロットの座を譲った。目標に向かって邁進するその姿勢は舞の指針となり、いまでは舞にとって誰よりも親身なサポーターである。

 そんな由良先輩を演じる吉谷彩子。ここ数年で一気に知られるようになった存在だが、そのキャリアは長い。子役出身者であり、朝ドラへの出演は『ゲゲゲの女房』(2010年/NHK総合)、『梅ちゃん先生』(2012年/NHK総合)に続いてこれが3度目。彼女の表現力には思わず「さすが」と口にせずにはいられないものがある。それは、舞の成長物語を描いた本作で、舞のその後に大きく影響するであろう青春時代における成長ぶりを、由良冬子というキャラクターを通して視聴者にそっと伝えていることだ。初登場時は完全に舞の障壁となるような人物だと思った。しかしそれは完全に思い違いであった。先に記しているように、由良が空にかける想いは誰よりも強い。そんな彼女の前に現れたのが、まだあどけない少女のような舞だった。演じる吉谷がその声色や表情を通して、目の前の“舞の成長”を伝えていたのである。彼女の変化は、舞の成長の証を体現するものなのだ。

「なにわバードマン」でもっとも柔軟な鶴田葵(足立英)

 「なにわバードマン」に集う面々を“個性豊か”と先述したが、そんななかでもっともフラットな存在なのが、部長である鶴田葵だ。かなり早い段階から舞の情熱を汲み取り、部内における彼女の居場所を守ってきた人物である。いつもにこやかで、物腰も柔らか。「なにわバードマン」は彼の存在があってこそなのだと思わされる。そんな部長を演じるのは足立英。まだそこまで俳優としてのキャリアは長くはないが、豊かではある。『麒麟がくる』(2020年/NHK総合)ですでに大河ドラマへの出演も果たし、若手俳優がこぞって出演し話題となった『教場II』(2021年/フジテレビ系)や映画『ブレイブ -群青戦記-』(2021年)などにも参戦しているほか、演劇フィールドでは劇団チョコレートケーキや二兎社など、多くの支持者を持つカンパニーの作品に出演してきた実力者だ。

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 舞いあがれ! Part1』(NHK出版)にて足立は、「部員みんなの個性が彩り豊かなので、僕が調味料を加えようとは考えず、みんながお芝居しやすいように、みんなが輝けるような立ち居振る舞いを意識しました」と語っている。彼の狙いは恐らく成功しているだろう。物語においても作品においても、非常に柔軟性の高い存在である。

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