『クロサギ』武田P×那須田Pが語る、平野紫耀の持つエンタメ力 「演じ分けがとても上手」

『クロサギ』Pが語る、平野紫耀の魅力

 平野紫耀が主演を務めるTBS金曜ドラマ『クロサギ』がスタートした。今作は、詐欺師同士の頭脳戦を描いた漫画『クロサギ』シリーズが原作。主人公・黒崎高志郎をKing & Princeの平野、ヒロインとなる吉川氷柱を黒島結菜が演じている。

 2006年に放送された山下智久主演の『クロサギ』から月日が経ち、原作が完結した今、新たに『クロサギ』のドラマを企画した意図や切ないラブストーリーの一面、そして現場の雰囲気まで、プロデューサーの武田梓と那須田淳にインタビューを行った。

得体の知れない怖さもう1回見つめ直す

――2022年の今、『クロサギ』を放送することになった背景を教えてください。

武田梓(以下、武田):2006年に山下智久さん主演で制作した際は、オレオレ詐欺もほとんど知られていなかったような時代でした。多くの方がフィッシング詐欺のメールや、明らかに詐欺だとわかるような情報をネット上で見たことがある現代に、改めて、当たり前のようにみんなが目にしているものって実は結構怖いことなんだ、人の人生を奪うようなことなんだ、ということを伝えたいと思い、企画しました。また、詐欺師に立ち向かって退治していく黒崎を平野紫耀さんが演じることで、痛快さや気持ちよさというのを視聴者の皆さんが楽しんでいただけるようなものになるのではないかと思いました。

那須田淳(以下、那須田):今、見えないところで進行しているであろう詐欺には、人間が生きていく中で危うい部分である“欲望”がものすごく如実に出ていると思います。すごく近くにありながら、得体の知れない怖さというのをもう1回見つめ直すというのはある種の社会派ドラマでもあるこのドラマの役割だと思います。人間と社会のある部分をえぐったり、若い人にエールを送るには“エンタメ性”が大事になってくるので、黒崎というキャラクターをエンタメ力のある平野くんに演じてほしいと思いました。複雑なキャラクターのいろいろな姿を俳優としてしっかり演じ分けられる彼の力や人柄が、このテーマに取り組むときに一番僕たちが求めているものでした。

――実際に撮影を通して、平野さんの演じる黒崎はいかがですか?

武田:黒崎というのは分かりやすいキャラクターではなく、接する相手によって見せる顔がいろいろあって、平野さんはその演じ分けがとても上手だと思います。私たちも接する人によって見せる顔が違うことはあると思いますが、平野さんは、一人の「黒崎」という人間としてそれをやっていることが伝わってきて、「これ視聴者の方に早く見せたいな」と思って毎日過ごしています。

那須田:変装といった視覚的な違いだけではなく、演じ方も様々なので、いろんな彼を見ることができて楽しめるドラマになっていると思います。

――今まで撮影されてきた中で、平野さんの印象に残っているシーンはありますか?

武田:そもそもご本人のポテンシャルもそうですし、黒崎という役がいろんな顔を持っているので、振り幅の大きさに驚かされます。単純に外国人の変装がすごく似合うとか、詐欺師に詰め寄るシーンで、こんな声が出るんだとか。普段テレビで観ていると絶対聞かない声や見ない表情をするので、お芝居の引き出しの多さには改めて驚かされましたし、感心しました。

那須田:1話のおはぎを食べるシーンは、リスのように両頬をいっぱいにしていたのが印象的でした(笑)。そんな状況でもしっかりとお芝居ができるのには驚かされました。

武田:(笑)。こんなにほっぺを膨らませているのに、何を言っているのかがちゃんとわかるというのがすごかったですよね。

那須田:こうしてほしいと言っているわけじゃないんですけど、ナチュラルに人を惹きつけるお芝居を自分からどんどん出してくれるのが平野くんの魅力だし、唯一無二の俳優だなと思いました。

正論を言うヒロインの難しさ

――ヒロインの吉川氷柱役に黒島結菜さんを起用した理由についても教えてください。

武田:脚本の篠﨑(絵里子)先生も言っていましたが、ダークヒーローが主人公だと、視聴者は主人公に感情移入するので、時には正論も言わなければならないヒロインはとても演じる上で難しい存在になるんです。でも、氷柱の迷いながら夢に向かって進んでいくヒロイン像に関しては、黒島さんの大人っぽいけどまっすぐな雰囲気に合っているなと思っています。

那須田:黒島さんのお芝居で感じさせてくれる芯の強いところや透明感、ダークヒーローに向かってはっきり正論を言わないといけないというしっかりした力を感じ、ぴったりだと思いました。

――黒島さん演じる氷柱はいかがですか?

武田:黒島さんは現在25歳ですが、現場では、等身大の大学生の女の子の雰囲気を放っています。お芝居に関しては、知識を話すのではなく、心で思っていることを言っている氷柱を演じてくださっているので、とても素敵だなと思っています。

――平野さんと黒島さんの芝居の掛け合いも楽しみです。

武田:2人のシーンは観ていてすごく楽しいです。黒崎は最初、クロサギとして偽った自分で氷柱に出会いますが、徐々に素の自分を図らずもさらけ出していくことになります。その中で、氷柱に対する言葉も変わってきますし、それに対する氷柱の反応もただの優等生ではない、等身大の女の子が表れている感じがしていて、黒崎と氷柱はある意味21歳同士の会話になるというか。黒崎と氷柱にはそれぞれ事情がありますが、2人のシーンのときはお互いが等身大の自分として話しているような雰囲気が伝わってきます。

那須田:悲劇的なシーンが多いですが、2人とも人間味のあるところをちりばめながら演じてくれています。重いところ、悲しいところ、切ないところ、楽しいところなど2人の感性が共鳴しやすいので、相性良いと思います。

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