平野紫耀に気持ちよく騙される 不死鳥のごとく新たに舞い降りた『クロサギ』の物語

平野紫耀に気持ちよく騙される『クロサギ』

 世の中には、騙される人間と騙す人間がいる。「自分は騙されない」そう身構える人ほど、気づけば騙される側に立たされていた……なんてことも。そして、今回も見事に騙されてしまった。一足先に観た金曜ドラマ『クロサギ』(TBS系)に、主演・平野紫耀(King & Prince)に気持ちよく騙された。

不死鳥のごとく新たに舞い降りた『クロサギ』の物語

 『クロサギ』は2003年から2013年まで連載された累計発行部数850万部を超える人気コミックシリーズを原作にしたドラマ。2006年には山下智久を主演にドラマ化、映画化されていることでも知られている。

 詐欺師を騙す詐欺師、いわば“最凶の詐欺師”であるクロサギが暗躍するダークヒーローストーリー。そんな話の大筋がすっかり知れ渡り、もはや味わい尽くしたといってもいい物語を、新ドラマとしてオンエアしてもきっと目新しい面白さなんて……と身構えていたところがあった。だが今作では、原作とも、以前のドラマとも異なる2022年を舞台にしたことで、すっかり新鮮なエンタメとなって映し出される。

 第1話で、クロサギこと黒崎高志郎(平野紫耀)が喰らいにいくシロサギは、カリスマセミナー講師の春日(高橋光臣)。その手口は決して遠い世界のものではない。誰もが先の見えない不安な日々を過ごす中、ポジティブな気持ちになれる言葉で導いてくれる人が現れたら……グラっと心が傾いてしまうのもわかる気がする。

 クロサギとシロサギの騙し合いに痛快な気分を味わいつつ、自分は何を信じて生きているのかを改めて考えさせられる。たしかに考えてみれば詐欺師ほど、その時代を生きる人々の心の穴を突いてくるものはない。

 『クロサギ』は、時代が異なれば、その時代ならではの新しい作品として、いつでも動き出せるということか。いつの時代にも詐欺がなくならないように、クロサギの活躍に胸を踊らせる気持ちはなくならないのかもしれない。

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