『君の花になる』は“8LOOMのストーリー”そのもの ドラマと現実の境目の曖昧さが魅力に

『君の花になる』は“8LOOM”そのもの

 マネージャーのように仕事を取ってくることはできない。ましてやプロデューサーや社長のように、売り出し方を指示することもない。できるのは、彼らが自分で胸を張って決めた選択を全力で背中を押すこと。そして精一杯の声援を送ることだけ。そんなあす花が今、寮母として弾と向き合う距離感は、今やSNSで直接メンバーに声を届けることができ、自分たちでグループの魅力を発信することができるファンのそれと近いものがありそうだ。

 そして弾は覚悟を決める、「あんたの夢も俺が叶えてやるよ」と。自分の夢を叶えることが、あす花の夢を叶えることでもある。すべての夢追い人とそれを応援する人との関係性にも重なるこのシーンに、胸を熱くする人も多かったのではないだろうか。私たちは不思議なもので自分のためだけに頑張るよりも、誰かの応援や期待に応えようとしたときのほうがモチベーションを高く維持できたりする。そして応援する側も、そんな頑張る人に見合う存在でいたいと願い、生活に張り合いが出てくる。それはまるで光を反射させ合うように、双方が輝き出すのだ。

 ここから8LOOMとあす花の、そして視聴者である私たちも含めた、キラキラとした日々が始まっていく。きっとメンバー1人ひとりが抱えるストーリーも語られていくに違いない。気づけば、推さずにはいられない、そんな気持ちにさせてくれるのではないだろうか。

 また、事務所社長の花巻(夏木マリ)に「ノックもなしに」と言わせたり、銭湯で椅子に座ってグルリと振り返らせたりと、かつて夏木が演じた湯婆婆(映画『千と千尋の神隠し』)のオマージュを感じさせる遊び心もチラ見えする本作。花巻社長や謎の関係者・トリニティ(竹中直人)、クセの強いマネージャー・添木(宮野真守)の言動にクスクスするもよし弾とあす花のちょっぴりラブを感じるやりとりにドキドキするもよし。いろいろな角度からも楽しめる本作をとことん味わい尽くし、たっぷり潤う1クールにしようではないか。

参照

※1. https://shopping.tbs.co.jp/tbs/shop/goods_dvd/drama_kiminohananinaru
※2. https://www.youtube.com/playlist?list=PLCUNF--_h4OyyVIxv-ax-H69N4neJagne

■放送情報
火曜ドラマ『君の花になる』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:本田翼、高橋文哉、宮世琉弥、綱啓永、八村倫太郎、森愁斗、NOA、山下幸輝、志田彩良、菊田竜大(ハナコ)、川津明日香、木南晴夏、宮野真守、内田有紀、竹中直人、夏木マリ
脚本:吉田恵里香
プロデューサー:黎景怡、宮﨑真佐子
演出:坪井敏雄、加藤尚樹、宮崎陽平
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kiminohananinaru_tbs/
公式Twitter:@kimihana_tbs
公式Instagram:kimihana_tbs
公式TikTok:@kimihana_tbs

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