『舞いあがれ!』高畑淳子が果たした重要な働き “祥子ばんば”の存在は舞の今後の指針に

『舞いあがれ!』高畑淳子が果たした役割

 放送開始から早くも第3週目に入った朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)で、“ヒロインの祖母”という重要な役どころを務めている高畑淳子。ヒロインの家族というのは誰もがどの作品においても重要なものだが、彼女の場合はちょっと特別である。ヒロインのその後の人生の指針となるような、とても大きな影響を与える存在なのだ。

 本作で高畑が演じる才津祥子とは、主演の福原遥が演じる岩倉舞にとって“母方の祖母”である。身体の弱い舞の生活環境を変えるため、永作博美が演じる母・めぐみに手を引かれ、舞は祥子の住む長崎・五島列島を訪れた。初めての五島の大自然と、初めてのおばあちゃん。ところが彼女たちの関係には込み入った事情があった。めぐみが駆け落ちをして五島を飛び出していたため、この母娘は10数年ものあいだ疎遠だったのだ。けれどもそんな過去も、初めて会う舞のことをも包み込む懐の深さを持つのが、祥子という人なのである。

舞いあがれ!5話

 とはいえ、いまのところ祥子と交流を持っているのは、福原演じる舞ではなく、浅田芭路が演じる幼少期の舞だ。こと朝ドラにおいて、ヒロインの幼少期の経験というのは、その後の展開にも大きく影響してくるもの。前作『ちむどんどん』のヒロイン・暢子(黒島結菜)は“食”に、前々作『カムカムエヴリバディ』の3代目ヒロイン・ひなた(川栄李奈)は“時代劇”に夢中であり続けた。今作のヒロイン・舞が夢中になるのは“空”。きっかけの一つが“凧揚げ”であり、それを後押ししたのが祥子なのである。“夢中になれるものを見つけること”、そして、“そこへと向かって進んでいくこと”を人知れずサポートしていたのが彼女。これから舞が突き進んでいくのは空の世界だ。彼女の人格形成に祥子は多大な影響を与えているため、福原演じる大人の舞の言動には、祖母・祥子の影がたびたびチラつくことだろうと思う。それはつまり祥子の登場シーンが無くとも、高畑淳子の存在が視聴者には見え続けるということである。

 そんな祥子を演じる高畑は、まだ始まったばかりの『舞いあがれ!』において非常に重要な働きをすでに果たしている。ヒロインの一家である岩倉家に扮する面々は、子役の浅田を除いて誰もが初の朝ドラ出演だ。福原も、永作も、父親役の高橋克典もである。これに対して高畑は本作が3度目の朝ドラ登場。記念すべき第100作目『なつぞら』にて、ヒロイン・なつ(広瀬すず)の同級生の祖母を演じていた姿が記憶に新しい。なかなかクセの強い人物であり、祖母のいないなつにとって、これまた影響力を持つ存在だった。話が過去作へと少しズレてしまったが、ようは高畑が作品ごとに重責を担っているということだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる