又吉直樹、本を愛し本に愛される男で『舞いあがれ!』に登場 舞たちの重要なメンターに

又吉直樹、『舞いあがれ!』のメンターに

 『舞いあがれ!』(NHK総合)の第3週「がんばれ!お父ちゃん」の舞台は、五島列島から東大阪へと戻った。舞(浅田芭路)の元気な様子に父・浩太(高橋克典)も一安心。初めて乗った飛行機にすっかり魅了された舞に、浩太自身の夢が飛行機作りだったことを伝える。意外な共通点が見つかり、互いにうれしくなる父と娘。

 浩太は舞に模型飛行機の作り方を教えると言いながら、工場の仕事が忙しく思うように時間をとれずにいた。五島に行く前の舞だったら、父の様子を伺いつつ待っているだけだったかもしれない。五島の祖母の家でしっかりと成長した舞は、自力で模型飛行機を作ろうと決意する。

 舞は幼なじみの貴司(齋藤絢永)と一緒に古本屋に行き、模型飛行機の作り方が掲載されている本を店主に教えてもらう。この店主・八木巌を演じるのが又吉直樹だ。舞が貴司や久留美(大野さき)と通うことになるその店の名前は「デラシネ」。「デラシネ」とはフランス語で「根なし草」を意味するのだが、又吉直樹の佇まいと店の雰囲気がぴたりと重なり、浮世離れした世界を作り出す。

 本をこよなく愛する店主・八木の影響を強く受けた繊細な貴司は、本の世界に没頭していく。舞のように「模型飛行機を作る」という目的があって「デラシネ」に足を踏み入れたのではなく、心の拠りどころとして、ただひたすら読書にふけるために貴司は八木の店に出入りしていくのだった。

 八木が発する詩的な言葉は物語上のセリフであって、俳優・又吉直樹が感じたものではないのだけれど、貴司に伝えていく言葉の数々は作家・又吉直樹が紡いでいるような錯覚に陥るから不思議である。

“椅子”の多様性をドラマで表現 制作陣に聞く、又吉直樹のクリエイティブの力

芸人・作家の又吉直樹がオリジナルで脚本を書き下ろし、吉岡里帆、モトーラ世理奈、石橋菜津美、黒木華という4人の若手女優の競演で注目…

 又吉直樹が小説『火花』(文藝春秋)で第153回芥川賞を受賞したのは、7年前の2015年のこと。作品はドラマ化、映画化だけでなく、舞台、漫画にもなっている。2017年に刊行された小説『劇場』(新潮社)も2020年に映画化。芸人として活躍しながらも、作家としての活動もつねに熱い視線が注がれている。最近では、『WOWOWオリジナルドラマ 椅子』の脚本も手がけた(家具店店主としてオープニングにも登場)。

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