『相棒』シリーズは初見でも楽しめる? 特命係を取り巻く個性的なキャラクターを紹介

今からでも楽しめる『相棒』シリーズ

 また、警察上層部にとって右京は厄介な存在で、特命係を潰そうという動きも毎回見られ、敵か味方か分からない上層部たちとの緊張関係も物語を面白くしている。亀山がいない間に登場した、現在特命係の指揮統括役である甲斐峯秋(石坂浩二)は、組織を守るためなら手段を選ばない一面があり、特命係の捜査を妨害することも。何より息子のダークナイト事件の負い目がある。

 法務事務次官の日下部彌彦(榎木孝明)は有望な女性検察官が右京の追及により辞職したことで、右京を敵視するように。しばらく登場をしていなかったが、season20で元部下の冠城を公安調査庁へスカウトしにやってきて、冠城もそれを承諾。右京に対する今の心境は謎だ。

 警視庁副総監の衣笠藤治(杉本哲太)は、かつて警察庁No.2だった甲斐峯秋とは、警察組織内の力関係を巡ってけん制し合う間柄。また以前、自身の娘が殺人事件の目撃者になった一件に特命係が首を突っ込んだ経緯から疎ましく感じていて、廃止の機会を虎視眈々と狙っている。

 内閣情報官・社美彌子(仲間由紀恵)は、アメリカに亡命したロシア人スパイと深い関係にあったが、シングルマザーとして忘れ形見である一人娘のマリアを育てている。社は官房長官だった鶴田翁助(相島一之)の失脚を利用し、内閣情報官という要職を手に入れた。その背後には、国家公安委員長・鑓鞍兵衛(柄本明)の口利きがあったといわれる。

 政治家の片山雛子(木村佳乃)は、女性初の内閣総理大臣の座も近いとまで言われたが、テロ事件の責任を取る形で議員辞職。その後出家するも、先の選挙で刺客として立候補した鑓鞍兵衛を破り再び選挙で勝利し議員復帰。右京が「周囲で不祥事や事件が起きるたびに、それを逆手に取り、大きくなっていく」と評するほどのしたたかな女性で、特命係とは敵でもあり利用し合うこともある。

 season21の第1話では、サルウィンで腐敗政府を倒したアイシャ(サヘル・ローズ)という反政府運動のリーダーが、亀山とともに親善目的で来日。来日パーティーには、鑓鞍や片山など政府関係者も呼ばれ、早くも先に挙げた政治家や上層部が深く関わってくる。

 また、『相棒』ファン待望の亀山の妻・美和子も登場するが、搭乗予定だった旅客機に「アイシャを殺さなければ旅客機を墜落させる」という脅迫文が送られ、事件に巻き込まれてしまうことに。甲斐のダークナイトの時のように、皆が心に傷を負って終わるようなバッドエンドを受け止めるのも『相棒』なので、亀山が特命係に戻ってくる理由として何かしらの悲劇が起こる可能性も考えられる。

 22年間の物語は紹介しきれないが、season21はおそらく『相棒』の集大成になると思われ、様々な歴代出演者が登場する可能性が高い。亀山が誰と再会し、どんなリアクションを見せていくのか、まずそこが見どころとなるシーズンになるだろう。

■放送情報
『相棒 season21』
テレビ朝日系にて、10月12日(水)スタート 毎週水曜21:00~21:54放送
※初回拡大スペシャルのみ21:00~22:09放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー:桑田潔
チーフプロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真通
脚本:輿水泰弘ほか
監督:橋本一ほか
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日、東映
©テレビ朝日・東映
公式Twitter:@AibouNow

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