伊藤節生、人生が変わった『モブサイコ100』への思い 「モブ君に寄り添えるように」
モブを演じるにあたって
――改めて、主人公の影山茂夫(モブ)を演じる際には何を意識されていましたか?
伊藤:これは二期以降にディレクションいただいたことなんですが、「元気になりすぎない」。一期の時は自分がド新人だったので、自分ができることを最大限にやった結果があの形なんですが、二期までの間に舞台や色んなことを経験させてもらったので、お芝居が大きくなってしまっていて。「抑えて! 抑えて!」とすごく言われていたのが一番印象的だったなと思います。
――演技を「抑えて」というのは珍しい指示かもしれないですね。
伊藤:普通は「もっとやって!もっとやって!」ってなると思うんですけどね。でも、モブ君は作品の中心人物ではあるけど、本人は素直で、どちらかというと周りにひっぱられるタイプなので、そこに寄り添っていこうと思っていましたね。
――モブ君自体が元々そんなに喜怒哀楽が激しいキャラクターではないからこそ、感情をさらけだすシーンには難しさがありそうですね。
伊藤:他の役者の方々にも「難しいキャラクターだよね」とずっと言われ続けてきましたね。本当に小さな表情の変化に気づくか気づかないかという差でやっているお芝居もあったりするので、難しいなあと思います。一期の時には、モブ君の淡白さを意識したほうがいいのかなと思ってあんまり強く言わなかったら、「ここはもっと強くして」って指摘されたりしましたね。今では「ここまではモブ君を出していいんだ」という基準が自分の中で出来上がっているので、ピンポイントで「こここうして」っていうリクエストはあっても、「ここ変えて」と言われることはないかもしれないです。
――モブ君自身も作中で少しずつ成長してきましたが、その変化を経て三期を演じる際に意識したことはありましたか?
伊藤:モブ君の成長というのも自分としては二期から繋がっているものなので、「三期だから頑張ろう!」というよりは、やりながら「ここ成長したなあ」と感じ取っていきましたね。モブ君自体は純粋でまっすぐで、基本的には周りを疑わない部分は変わらないので、シンプルに素直に演じようと考えていました。
――では、一期の時からモブ君への印象はあまり変わっていない?
伊藤:そうですね。なんなら一期と比べるともっと素直になったんじゃないかな。一期って意外と、「これ師匠のこと疑ってるんじゃないかな?」というシーンもあったように感じますし、モブ君自身の中に迷いがあったと思います。それをいい意味で払拭して、もっと素直になっているのが、三期のスタートだったんじゃないかなと。
――仲間や友達ができたり、自分の意思を尊重しようとしたり、人としてモブ君が学んでいくことで、素直になったというか、精神的に強くなっていきましたね。
伊藤:そうですね。もともと師匠と弟の律しか周りにいなかったのが、仲間ができて周りに支えてくれる人が増えた分、もっと普通の少年になっていったのかなと思います。
――師匠である霊幻新隆についてはいかがでしょう? 霊幻はだいぶイメージが変わっていった人だと思うのですが。
伊藤:一期の時はモブ君が師匠を疑っているように見えたり、師匠が取り繕うシーンが多くて、シリアスなシーンや、内面が描かれるシーンがそんなに多くなかったので、おもしろい立ち位置の人だったと思います。でもそれが二期でがらりと変わって、モブ君と師匠との関係値もかなり完成したなと思いましたね。
――二期では誕生日を孤独に過ごすシーンなど、霊験の人間的な部分が出ましたね。
伊藤:元々、モブ君目線の師匠はしっかりした大人で、ひっぱってくれる存在でした。でも、いざモブが師匠から離れそうになった時に、師匠のもろさがすごく出てきたので、「大人も悩みってあるよな」と思わされました。そもそも、僕自身もいつのまにか師匠の年齢を超えていたので、逆に師匠の目線になって「わかる! その気持ち!」みたいな。なので、二期を通してキャラクターから人間に感じていった人かもしれないですね。
――そう考えると、一期はモブ自身を掘り下げ、二期がさらに踏み込んだ問題と、霊幻が人間になっていく様子を見せるような内容になっていますね。
伊藤:師匠は最初から人間なんですけどね(笑)! マンガの中のキャラクターから現実にある人というか存在に感じられる瞬間、悩みとか不安とか共感できるシーンが多いなと思いましたね、二期は。
――では、伊藤さんが作中で今一番共感しやすいのは、年齢的に霊幻ですか?
伊藤:どうなんでしょう? もともと僕はネガティブで自信のない人間なので、モブ君には共感できるし、似てるとも思います。でもモブ君の悩みって学生の悩みが多くって、それはやっぱり僕の人生の中ではもう過去の話なので、いざ大人の悩みってなると師匠とか、あとは意外と爪の第七支部のメンツが社会復帰した時とかの話を見ると、「がんばって!」って思っちゃいますね。
――そう思うと、大人が観た時に共感できる部分の多い作品かもしれないですね。
伊藤:大人だからこそ共感できるシーンもけっこうありますし、超能力という能力含めて、「もし自分がこうだったら」と考えさせられる部分も多いと思います。自分が何かの強い力を持っていたとして、テルくんみたいに天狗になったり、ショウくんのお父さんみたいに人の上に立つことで色んなものを切り捨ててしまうんだろうか?と考えたりします。超能力を題材にしているから非現実的に感じますが、実際すごくリアルな悩みが描かれているなと思います。
――『モブサイコ100』は、主人公であるモブが最強に近い力を持ってはいるんだけど、それでもうまくいかないことがある、ということが描かれていますよね。なかなか友達ができないとか、言いたいことが言えないとか。
伊藤:そうなんですよね。モブ君は超能力があるから怖がられて友達ができないんじゃなくて、ちょっと他と噛み合いづらいから友達がうまく作れない、っていう、超能力とは関係ない普通のところで悩んでる。超能力を持っていようが持っていまいが、人間というのは悩むんだぞ、というところが作品の根底にあると思うので、共感できるシーンとか、観ていてぐっとくるシーンが多いなと思います。
――色々な事件や悩みを乗り越えて成長してきたモブ君ですが、三期ではどんなことが起こるのでしょうか?
伊藤:人間生きていたらぶつかる分岐点があって、そこに直面するシーンが三期には結構あるのかなと思いますね。二期まででモブ君には友達ができたけど、友達ができたからって悩みがなくなるわけじゃない。モブ君は学生なので、今度は進路の悩みが出てきたりする。その新たな壁に対してどうモブが動くのか、師匠は何を示してくれるのかが三期では描かれていると思います。
三期の見どころは?
――では、改めて三期の見どころはどこでしょうか?
伊藤:成長したモブ君がまだ解決できてない悩みとどう向き合うのか、あと二期の時点で師匠との関係性があれだけカチッと固まったものが、今後のお話にどう活きてくるのか。また、二期の最後で、「霊とか相談所」に新たに芹沢という仲間が加わったことで、新しい色が生まれてどういうふうに変化していくかっていうのが見所かなと。あと、ティザーPVの最後で出てくるエクボの「あのセリフ」はどのシーンなんだ!? っていうのが見応えがあるシーンになってると思うので、ぜひ楽しみにしていてください!
――ティザーの中でも特に気になるポイントですね!
伊藤:原作を読まれてる方は、観て「あの話じゃないか」と想像したでしょうし、先を知らない人でもぐっとくると思います。そいうシーンがたくさんあるので、そういうところをぜひ観てもらいたいので、ぜひティザーPVや本PVもう1回観て備えてもらえればと思います。
■放送情報
『モブサイコ100 III』
TOKYO MXほかにて、毎週水曜24:00~放送
原作:ONE(小学館『マンガワン』連載)
キャスト:伊藤節生、櫻井孝宏、大塚明夫、入野自由、松岡禎丞、星野貴紀、種﨑敦美、佐武宇綺、嶋村侑、関俊彦、細谷佳正ほか
総監督:立川譲
監督:蓮井隆弘
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:亀田祥倫
美術監督:河野羚
色彩設計:中山しほ子
撮影監督:古本真由子
編集:廣瀬清志
音響監督:若林和弘
音響効果:倉橋静男、緒方康恭
音楽:川井憲次
アニメーション制作:ボンズ
©ONE・小学館/「モブサイコ100 III」製作委員会
公式サイト:http://mobpsycho100.com/
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