伊藤節生、人生が変わった『モブサイコ100』への思い 「モブ君に寄り添えるように」
『モブサイコ100』の第3期の放送・配信が、10月5日より開始した。本作は、小学館のマンガアプリ『マンガワン』で連載中のONEによる同名コミックのアニメ化作品。超能力をもった少年、影山茂夫(モブ)と、その師匠である自称・霊能力者の霊幻新隆たちが、仲間と出会い、ぶつかり合いながら成長してく模様を描く。
このたび、リアルサウンド映画部では、主人公・モブを演じる伊藤節生にインタビュー。「人生を変えた」というモブ役への思い、一期、二期を経ての三期の意気込みなどをじっくりと聞いた。(編集部)【インタビューの最後にはサイン入りチェキプレゼントあり】
何もかも変わった『モブサイコ100』への出演
――改めて、三期が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
伊藤節生(以下、伊藤):二期から3年くらい時間が空いて、その間にコロナがあったりもして、無事にできるのかという不安もありました。なので、こうしてみなさんにお届けできることになってほっとしています。制作すると決めてくださったスタッフさんも、これまで待って、応援してくれていたファンの皆さんにも本当に感謝ですね。
――一期から三期にかけて、チーム『モブサイコ100』の雰囲気や、共演者の方との関わり方は変わりましたか?
伊藤:僕の硬さは取れたかもしれないですね。一期の時は収録に行くことにものすごく緊張していたのが、二期の時点である程度なじんでいましたし、三期までの間にも色んな現場も踏ませてもらったので、かなり自分の中でリラックスできていたんじゃないかなと思います。共演者の方々は大先輩が多く、好きな作品に出てきた方々ばかりなので、緊張的な意味でドキッとする時はあります。でも、お芝居を一緒にさせてもらう上では、すごく距離が近くなれたなと。たくさんお話してくれたりとか、たまにご飯に行ったりしたので、そういう意味でもお近づきになれたのかなと思います。
――一期の時はどのくらい緊張されていたのですか?
伊藤:前日寝られない日もあるくらい、めちゃくちゃ緊張しました! 朝からの収録だったんですが、ほとんど寝てないけどもう寝る余裕もない、みたいな。遅刻もしたくないから、現場の近くの公園に1時間以上前にスタンバって、自分の台本を思い返しながら、「今日はこういう話だ、こういうお芝居をしよう」とかずっと考えて。普通、現場って早くても30分前くらいにしか行かないのに45分前くらいに入ったら、スタッフさんもいなくて音響監督の若林(和弘)さんしかいない(笑)。でも、とにかく誰よりも早く行って全員に挨拶しようと思ってましたね。
――それは他の方からすると好印象だったのではないでしょうか。
伊藤:でも、邪魔だったんじゃないですかね。「まだ準備できてねえよ」みたいな感じだったかもしれないですね(笑)。でも、さすがに二期からは30分前から入ってます。特に今はコロナ禍で時間が決まっていて早く入れないことも多いですし。
――『モブサイコ100』出演前後で変わったことはありますか?
伊藤:何もかも変わったと思います。これだけ自分の人生に密接に関わる作品って、そんなに数は多くない。一期の時に自分が主役をやるとなって、作品を読んだ時から好きだったんですけど、三期の時点では、これ以上この人生では出てこないんじゃないかというくらい特別な作品になりましたね。お芝居に対する気持ちも変わりましたし、作品に関わり始めてから5、6年経っているので、自分自身も自分も年齢を重ねて大人になりましたし、そういう意味でも変わったなと思います。
――8月7日に公開されたOP動画は、あっという間に100万回再生を突破し、今(9月14日時点)では250万回再生に到達しています。改めて多くの方が待ちわびていたのが感じられますね。
伊藤:そうなんですよ! すごい勢いで回っていますね。コメント欄も見させてもらったんですが、日本だけじゃなくて海外の方も待ってくれてことがすごく強く伝わってきました。一期の時から海外のイベントも行かせてもらっているので、世界中の人が観てくださっているというのはわかっていたつもりですが、改めてコメントを見るとすごい量だなと。
――作品のどのあたりが海外の方に受けたと思われますか?
伊藤:ONE先生の作風もそうですし、モノクロの原作マンガを、あれだけカラフルに描いたというアニメーションの強みもあったんじゃないかなと思いますね。ゴリゴリ動いて、表情もコロコロ変わりますし、色合いもサイケデリックで。
――具体的に、マンガからアニメになって予想外だったシーンはありますか?
伊藤:例えば、二期のショウくんのお父さんのボスとの戦いは、原作だとモブ君の感情が細かく文字で描かれてるんです。でも、アニメーションでは完全に戦闘描写になり、いろんなことが同時に起こってるように描かれていてるんです。僕は事前に原作をがっつり読んで、「モブ君がこういう感情になってるから、お芝居も悲しみに寄せてみよう」とか全部メモって現場に行ったんです。そうしたら、「たしかに原作ではこうなってるけど、そこはアニメーションに落とし込むために、戦闘中の臨場感に寄せたお芝居をしてくれ」とディレクションをいただいたこともあります。同じ『モブサイコ100』という作品でも、マンガとアニメでどう作るかでこうも変わるんだなって思いましたし、それで伝わるものって同じだったりするじゃないですか。だから表現の面白さと難しさを感じましたね。