『親愛なる僕へ殺意をこめて』想像以上の怖さに戦慄 変幻自在な山田涼介の演技が光る

『しんぼく』変幻自在な山田涼介の演技を実感

 フジテレビ系新水10ドラマ『親愛なる僕へ殺意をこめて』が10月5日に初回放送を迎えた。累計発行部数130万部を突破した同名マンガが原作となっている同作は、連続殺人犯を父に持つ大学生の浦島エイジ(山田涼介)が主人公の二重人格サスペンス。自らが二重人格であることを悟り、もう1人の自分が殺人を犯しているかもしれないという不安にかられ、真相を明らかにするために奔走する物語だ。

 今回、このドラマが放送される水10枠は、今年の4月に復活を遂げたフジテレビの新しいドラマ枠。4月期は間宮祥太朗演じる筋金入りのヤンキーが真面目な高校生として高校生活を送る逆高校デビュー物語『ナンバMG5』が、7月期は自衛隊を舞台にした『テッパチ!』が放送され、どちらの作品も男同士の友情など“アツい”印象が強かった。その流れとは、一味も二味も違う3作目に選ばれた『親愛なる僕へ殺意をこめて』は、本格サスペンスもの。山田涼介が6年ぶりのフジテレビ系ドラマ主演かつ、GP帯ドラマで15回目の主演作とあり、発表時から注目を集めていた。

親愛なる僕へ殺意をこめて

 また、山田演じる浦島エイジというキャラクターも注目を集めた理由の1つといえる。“人生楽しんだもん勝ち。楽しければそれでいい”というスタンスの大学2年生・浦島エイジは、連続殺人鬼である父親の血をひくB一(ビーイチ)としての面も持っている役どころ。

 2006年放送の『探偵学園Q』(日本テレビ系)でキャリアをスタートさせ、以降『金田一少年の事件簿』シリーズ(日本テレビ系)などでミステリアスな表情を魅せてきたかと思えば、直近の主演作『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(テレビ朝日系)などでいつまでも変わらぬかわいらしさを炸裂させた山田。シリアスもチャーミングも、ファンにとっては選ぶことができない彼の二面性を、1つのドラマで一気に見れるだなんて。「これほど豪華な作品はない」と放送を心待ちにしていたのは、筆者だけではないはずだ。

親愛なる僕へ殺意をこめて

 そんな期待を胸に迎えた初回放送だが、良い意味で期待を裏切ってきた。まず、GP帯ドラマとは思えないレベルのグロテスクさ。ドラマ放送開始日に行われた会見にて「僕が拷問されるシーンがあるんですけど、本当に拷問されていまして(笑)」と山田が明かしていたことから、ある程度覚悟はしていたのだが、深夜ドラマや劇場公開の映画と比べてもかなり痛々しいシーンが多く、何度も目を瞑ってしまった。その怖さを助長させたのは、何よりも尾上松也演じる半グレ集団「スカル」のリーダー“サイ”こと佐井社の存在だろう。表現力豊かな尾上松也に、ど正面からヒール役をやらせたら、こんなに恐ろしいのか……と感心してしまった。

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