『親愛なる僕へ殺意をこめて』想像以上の怖さに戦慄 変幻自在な山田涼介の演技が光る

『しんぼく』変幻自在な山田涼介の演技を実感

 また、山田演じる浦島エイジのキャラクターの二面性も筆者が期待していたような生ぬるいものではなかった。“人生楽しんだもん勝ち。楽しければそれでいい”というスタンスは、彼自身が殺人犯の息子ゆえに、いじめやひどい嫌がらせにあっていた少年時代を隠しているからである。きっと彼はその過去から逃れるために、できるだけ“普通”に馴染もうと足掻いてきたのだろうと想像させられた。特にそれを彷彿とさせたのは、大学に入り、サークル仲間とワイワイするも本心では疲れを感じて川に座り込むシーン。同級生と同じ“普通の大学生”になりたいがゆえに、自分自身の本音よりも周りから期待される自分として振る舞ってきたエイジの生き方を想像すると胸が締め付けられた。

親愛なる僕へ殺意をこめて

 そんな普通を望むエイジの日常を蝕んだのが、押し入れにあった大量の1万円札と1台のスマートフォン、そして血痕のついた金属バッド、記憶が抜け落ちている10月19日から21日までの空白の3日間だった。そこから急速に物語は展開する。急スピードでテンポ良く進む、とにかくスリリングな物語が今後どう進んでいくのか楽しみだ。

 ところで、第1話を観ていて予期せぬ楽しみ方も発見した。それは声色が変幻自在な山田涼介の声を、とことん堪能できるということである。テンポ感が良い作品ゆえに、モノローグが多いように感じた同作。誰かとの会話よりも深刻そうな声色は、たまらない。また、グロテスクなシーンを薄目で見ている最中はどうしても聴く力が冴えがち。その時に山田の声の良さを再確認することが度々あった。グロテスクなシーンは苦手だけど、展開が気になるという方は、ぜひ第2話以降、この視聴方法を試してみてはいかがだろうか。

■放送情報
『親愛なる僕へ殺意をこめて』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:山田涼介、川栄李奈、門脇麦、尾上松也、早乙女太一、髙嶋政宏、桜井ユキ、佐野史郎、遠藤憲一ほか
原作:『親愛なる僕へ殺意をこめて』原作:井龍一、漫画:伊藤翔太(講談社ヤングマガジン刊)
脚本:岡田道尚
総合演出:松山博昭
プロデュース:草ヶ谷大輔
音楽:☆Taku Takahashi(m-flo)
主題歌:Hey! Say! JUMP「ウラオモテ」
制作著作:フジテレビジョン
©フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/shinainarubokue/
公式Twitter:@shinboku_cx
公式Instagram:@shinboku_cx

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