『オリバーな犬』交錯する2つの事件を整理する 言葉への相反するスタンスが生むスリル

『オリバーな犬』交錯する2つの事件を整理

「こっちは犬だぞ。お犬様は昼からオッケーなんだぞ!」(オリバー)

 火曜22時枠『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(NHK総合)第5話に『時効警察』(テレビ朝日系)風のタイトルをつけるとしたら、「課金の課は課長の課。『え?』と聞かれたらちゃんと内容を確認するのだ!」になるだろうか。顔見せ的な意味合いのあった前回に続いて、第5話も驚きと笑いに満ちていた。シリーズ再開の熱気に気圧されて肝心のストーリーがないがしろになってはいけないので、これまで登場したキャラと場面を整理してみる。

 舞台となるのは狭間県警の鑑識課。警察犬オリバー(オダギリジョー)とハンドラーの一平(池松壮亮)は、現場に出ていない時は課に詰めている。漆原(麻生久美子)、課長(國村隼)は上司で、ユキナ(本田翼)と三浦(岡山天音)は同僚。一平たちが観ているテレビで、スーパーボランティア小西(佐藤浩市)の妻・佳代子(風吹ジュン)と娘の沙羅(河合優実)がインタビューに答える。県警は失踪中の小西の足どりを追っている。小西が姿を消したのはホオヅキ山のトントン牧場。オーナーは神々𢌞(橋爪功)で、左耳のないほーちゃん(高良健吾)、雀(寛一郎)、磁石男のリコピン(河本準一)、刈磨(村上虹郎)は農夫だが、神々廻の命を受けて暗躍する。

 小西の失踪とは別に、シーズン1から未解決のまま遺体が発見されたのが北條かすみ(玉城ティナ)。その真相を追うのが元刑事で現在フリー記者の溝口(永瀬正敏)。溝口に若手女優・花村寧々(関川ゆか)の不倫疑惑の取材を依頼するのが、雑誌『早月』編集長のスベンソン蘭子(松たか子)で、蘭子のいる編集部は角川武蔵野ミュージアムで撮影されている。かすみの友人あやめ(浜辺美波)は、溝口にかすみの事件に関する協力を申し出る。一平たちの前には、関東明神会の渡(仲野太賀)が現れ、かすみ殺しを自供。渡は若頭の龍門(松重豊)を殺した人間を探していた。

 あらましを述べると以上となるが、この他にホームレスの情報屋、裸足のチョウスケ(柄本明)や大殺界を告げる占い師(香椎由宇)がいる。チョウスケは、明神会と抗争中の半グレ組織TMT(Tokyo Miracle Team)リーダー宗手(永山瑛太)の父親で、宗手はキッチンカーのマガリ兄弟(松田龍平・松田翔太)とつながっている。2つの事件をめぐって県警、牧場、ヤクザと半グレ、マスコミが入り乱れる構図はシーズン2でエスカレート。第5話では、事件の裏に神々𢌞たちがいることが明かされた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる