林遣都はやっぱりすごい 『初恋の悪魔』鹿浜の性格を繊細に物語る所作

『初恋の悪魔』林遣都はやっぱりすごい

 林が演じている鹿浜は、ここまで記してきたとおりの“超・個性派キャラクター”。ほかの登場人物たちもアクの強い連中が揃っているが、とりわけ彼が強烈で、物語の序盤ではこの鹿浜に変化など期待できなかった。圧倒的な個性によって周囲に影響を与える側であり、彼のその性格の“ブレなさ”は、まるで指先にまで行き届いているようだった。

 私たちの社会においても、人は誰かとの出会いによって変わるものだ。いつも厳しい表情をしている人が笑顔になったり、めったに笑わない人がよく笑うようになったりする。もちろん、その逆もまた然り。それくらい、誰かと誰かが出会うということは大きなことなのだ。しかし、それまで心や体に染み付いてきたものが強力であればあるほど、そう簡単に変わることができないのが人間というものでもある。

 さて、ここで注目したいのが“鹿浜=林遣都”の身体だ。

 仲間たちと出会った鹿浜の“言動”には変化があったが、小難しい言葉を小型マシンガンのように放つ姿や柔軟性を欠いた挙動は相変わらずだ。けれども、“摘木星砂のもう一つの人格”の前では違う。それは恋愛感情を思わせるセリフなどではなく、ほかのシーンよりも穏やかで優しい身体運びにある。鹿浜という人間が、ひとときの安らぎを得ている証のように感じるのだ。実際、演じる林自身が優しいセリフを口にするのと自然に連動してのものなのかもしれない。しかし筆者は、林が自覚的に実践しているように思う。まだまだ謎が多いままの気もするが、最終話にてこの秘密の一端だけでも掴みたいものである。林遣都の身体に注目だ。

■放送情報
『初恋の悪魔』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~22:54放送
出演:林遣都、仲野太賀、松岡茉優、柄本佑、佐久間由衣、味方良介、安田顕、田中裕子、伊藤英明、毎熊克哉
脚本:坂元裕二
演出:水田伸生ほか
プロデューサー:次屋尚ほか
チーフプロデューサー:三上絵里子
制作協力:ザ・ワークス
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hatsukoinoakuma/
公式Twitter:@hatsukoinoakuma
公式Instagram:@hatsukoinoakuma_ntv

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