上白石萌歌は愛されキャラ! 『ちむどんどん』で歌子を演じた必然性
今年は、『ちむどんどん』と時を同じくして放送が開始された『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)にて、ヒロイン・七瀬美雪を好演していたのが記憶に新しい。『金田一少年の事件簿』がこれまで繰り返し実写化されてきたことから、この美雪というキャラクターが「ヒロイン」の代名詞的存在なのは多くの方がご存知のことと思う。上白石はその“5代目”に選ばれたのだが、美雪を演じた歴代の俳優陣はいずれも現在のエンタメ界の最前線にいる者たちだ。上白石がこのポジションを得ている事実に、彼女に対する製作陣の期待の大きさがうかがえる。ちなみに4代目の美雪役は、『ちむどんどん』で歌子の姉・良子を演じる川口春奈が務めていた。
また現在は、映画『アキラとあきら』が公開中だ。同作は池井戸潤による小説を原作としたもので、骨太な“経済エンターテインメント”が展開。上白石が演じるのは数少ない女性キャラクターであり、こちらで彼女が見せているものは、歌子のキャラクターとは対照的である。つねに冷静で頭脳明晰、口にする言葉もトゲはないが鋭い。同時期に目にすることのできたこれら3作品での上白石の姿は、彼女のポテンシャルを知るのにまさにベストなものだっただろう。
さて、『ちむどんどん』に登場する者たちに対して厳しい声が上ってきたと記したが、自由奔放な面々の中、誰よりも生真面目な人物が歌子であった。ある意味、彼女の存在が自由過ぎる物語の展開を落ち着ける役割を担っていたと思う。もしも歌子役がほかの若手俳優だったらどうなっていただろうか。若いだけでも、“弱さ”を演じられるだけでもだめだ。多くの人物が入り乱れる作品とあって、その中でバランスが取れるようでなければならない。経験豊富で力のある上白石萌歌が歌子を演じたのは必然だったはずである。
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK