『石子と羽男』まるで“爆盛カツ丼”のような大団円に 心打つ名台詞と共に最終回を振り返る

『石子と羽男』爆盛カツ丼のような大団円に

 金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)のクライマックスは、巨額のお金が動く不動産投資詐欺に放火殺人と、もはや“そんなコト”では済まされない大きな事件に発展していってしまった。

石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー

 だが、最終的にラスボスにとどめを刺したのは、“タバコのポイ捨て”と”民衆のつぶやき”というミニマムさ。これでいい。いや、これがいい。そんなラストまでニヤリとさせてくれた『石子と羽男』。

 エンタメとしておいしくいただけるのはもちろんのこと、現状の日本社会を考えたくなる食べごたえもしっかりあった。まるで爆盛カツ丼のような大団円を迎えた最終回を、心打つ名台詞と共に振り返りたい。

「法律は弱い人が声を上げた歴史なんです」

石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー

 エンジェル投資家の御子神(田中哲司)が、全ての事件の黒幕だと突き止めた石子(有村架純)と羽男(中村倫也)。だが、詰め寄る2人にも御子神は余裕の表情を浮かべる。曰く、法律は強い人間が作ったものであり、カジノの胴元が負けないように、どう転んでも自分たちが負けるようにはなっていないのだと。

 言われてみれば、たしかにそうだ。様々なルールを作り“社会を動かしている”のは、権力や影響力を持つ強い人間たち。だが、その“社会を支えている”のは、御子神が「弱い人間」だと一蹴する権力を持たない人々なのだと、石子と羽男は反論する。そして「力が弱い者も強い者も同じ世界で、平等に生きていく為に必要なルール」なのだと。

石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー

 このドラマでは繰り返し「声を上げよう」というメッセージが投げかけられてきた。最終回でも、大庭(赤楚衛二)が「一緒に声を上げませんか」と被害者の背中を押すシーンが印象的に描かれる。小さくて弱いからこそ、賢くなくてはならない。知恵を絞って、力を合わせれば、大きな魚を驚かせることだってできるのだ。そう、まるで絵本『スイミー』のように。弱い人間が社会を“動かす”側に一矢報いる方法は、声を上げること。そして声を上げた結果が、弱い者を守る法律に繋がっていくのだから。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる