『モブサイコ100』人気を支える霊幻の魅力 『エヴァンゲリオン』との対比で紐解く
第1期ではテロ組織にさらわれた弟を助けるため子どもだけでアジトへ乗り込むシーンがある。人に向けて超能力を使いたくないモブが、味方がピンチに陥り「自分が本気で戦わないと仲間が死ぬ」と考え“嫌なことから逃げられない”状況に追い込まれるが、後から駆けつけた霊幻はモブに対し「嫌なことからは逃げていい」と言い切り逃げ道を作ってくれるのだ。モブと霊幻の互いに助け合う師弟関係が本作の見どころでもあり、“子どもだけで危機に立ち向かう”という展開が霊幻の存在によって阻止され、それが安心感へと繋がっている。
こうした理由から本作での霊幻人気は根強く、彼が主人公のスピンオフ漫画も登場している。また、ファンからは「霊幻が好き」「霊幻の役どころがいい」との声も多く、アニメ第2期では霊幻が「霊とか相談所」を開くまでの経緯や詐欺を働いていたツケが回ってくるストーリーも放送された。モブが思春期の10代が悩みがちなことに悩んでいるように、霊幻は大人として社会での生き辛さや窮屈さを感じている。それぞれのキャラクターがそれぞれの立場から悩み、時に互いの助けになりながら共に歩んで行く姿が本作の人気を底上げしている理由だ。
主人公の考え方や価値観が似通っている『モブサイコ』と『エヴァ』だが、置かれている環境や周囲の対応の違いなどから、両作は辿り着く結末が大きく異なる。そしてアニメ第3期ではモブの内面の成長により踏み込んだ内容となることが予想される。こうした部分に注目して本作を視聴してみるのも面白いのではないだろうか。
■放送情報
『モブサイコ100 III』
TOKYO MXにて、10月5日(水)スタート 毎週水曜24:00~放送
BSフジにて、10月5日(水)スタート 毎週水曜24:30~放送
カートゥーンネットワークにて、10月7日(金)スタート
原作:ONE(小学館『マンガワン』連載)
キャスト:伊藤節生、櫻井孝宏、大塚明夫、入野自由、松岡禎丞、星野貴紀、種﨑敦美、佐武宇綺、嶋村侑、関俊彦、細谷佳正ほか
総監督:立川譲
監督:蓮井隆弘
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:亀田祥倫
美術監督:河野羚
色彩設計:中山しほ子
撮影監督:古本真由子
編集:廣瀬清志
音響監督:若林和弘
音響効果:倉橋静男、緒方康恭
音楽:川井憲次
アニメーション制作:ボンズ
©ONE・小学館/「モブサイコ100 III」製作委員会
公式サイト:http://mobpsycho100.com/