『ちむどんどん』ついにやってきた賢秀の“勝負どころ” 房子と三郎が若者に諭す
さて、暢子が房子(原田美枝子)に清恵探しを手伝おうと、彼女が一度来店していた「アッラ・フォンターナ」にまた来るかもしれないという可能性に賭けて、オーナーの房子に彼女のことを話した次の瞬間、清恵が房子を訪ねるという奇跡的な展開に。暢子に猪野養豚場のことを知らせようと、伝言を残しにやってきた彼女になぜ自分で伝えないか問う房子。「もう関わらないようにしたんです」と答える清恵に、昔の自分を重ねた房子は彼女を引き留めて、話を始める。
一方、時を同じくして「あまゆ」ではやけ酒する賢秀の話を三郎(片岡鶴太郎)が聞いていた。そこで賢秀が漏らした本音は、養豚場での仕事にかける誇りだった。養豚の仕事を大事にして、一生の仕事にしたい。これまで何度も失敗を繰り返してきた彼が、コツコツ仕事をすることの大切さと心地よさを学んだ居場所であり、変えたい自分が変わるきっかけをくれたのは他でもない清恵だった。この彼女と養豚の仕事。この二つが、彼が幸せになるために必要なものなのだ。
房子は清恵に、自分が三郎に会わないと決めてしまった過去を重ねながら「彼に正直になって全部伝えるべき。過去の自分に意地を張っているのは損」とアドバイスをする。
「何度だってやり直せるのよ。今、あなたが感じるままに、ちむどんどんする自分にだけ素直になりなさい」
その頃、三郎もまた自分の過去を思い出すかのように賢秀を諭していた。
「しくじったことのねえやつなんているか?」
人は、大なり小なり失敗を重ねに重ねて、大切なことを知り、正しさを学ぶ。この作品で常に失敗してきた賢秀というキャラクター像はあまりにも不完全だが、そんな彼だからこそ内心では自分の行いが間違っていると理解し、変わろうともがき続ける姿に意味があるのではないだろうか。
そして、再開する清恵と賢秀。三郎のアドバイスを馬鹿正直に受け止め、正面にいるのにわざわざ後ろに回ってバックハグをする賢秀はやはり“賢秀”だが、素直に彼の“勝負どころ”を応援したい。
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK