『パプリカ』実写化する上での大事なポイントは? 筒井康隆×今敏の圧倒的な一作を紐解く
そしてこのパレードで練り歩いてる物たちは、時代遅れの車や家電ばかりで、いずれも捨てられた物たちだと語っている。また同時に映画『パプリカ』は、一度原作を単純な形へと戻した後、筒井康隆の他の作品からも取り込めそうなアイディアを使った、単なる原作の映画化ではない筒井作品へのオマージュだとも話している。その上で前述のように、原作にはないオリジナル要素を自身の作家性として本編にも織り込んでいるのだ。これをいかにして実写ドラマに再構築するのか興味は尽きないところだ。
アメリカで企画が進んでいる実写ドラマの内容はまだ不明だが、世界中で絶賛されたアニメ映画版を無視して、原作までさかのぼった小説のドラマ化で済むとは思えない。アニメ映画版のビジュアルや人物設定も踏襲されることだろう。だがアニメ映画の『パプリカ』は、今 敏でしか成し得ない唯一無二の作家性で彩られた映像だらけなので、生半可に「アニメのあの名場面をデジタル特撮で再現しました」というだけになったら、それはそれで寂しいものになりそうだ。原作とアニメ映画を超えようとする創意工夫なくしては、世界中の『パプリカ』ファンの心を動かすことは出来ない。今はCGIもデジタル合成も格段に技術が進んでいるので、アニメ映画版の中に見られるような不思議な映像も実写で再現可能かも知れない。だが、それがアニメの実写再現だけで終わることなく、今敏がそうしたように筒井康隆作品への愛が込められた映像化であってほしい。
参照
※1 http://konstone.s-kon.net/
■配信情報
『パプリカ』
Netflixなど各種配信サイトにて配信中
監督:今敏
原作:筒井康隆
出演:林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一
脚本:水上清資、今敏
アニメーション制作:マッドハウス
キャラクターデザイン・作画監督:安藤雅司
色彩設計:橋本賢
美術監督:池信孝
撮影監督:加藤道哉
編集:瀬山武司
音響監督:三間雅文
制作プロデューサー:豊田智紀
プロデューサー:丸田順悟、滝山雅夫
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