『鎌倉殿の13人』柿澤勇人、実朝のにじみ出る気品と優しさ 菊地凛子は物語をかき回す予感
けれど、のえが八重の雰囲気を漂わせていることに少し不穏さも感じられた。そしてその予感は的中する。義時にとって「理想の結婚」が待ち受けるかと思いきや、物語終盤で泰時が覗き見たのえの姿は、知家の「裏表なし」という評価がことごとく裏切られるものだった。
「あっ、それ? きのこ。持っていきな」
「どうぞ、どうぞ。私、嫌いだから」
「分かる? 御所の女房はもうおしまい。小四郎殿に嫁ぐってことは鎌倉殿とも縁者ってこと」
着物を着崩し、軽快な口調で話しまくる姿は八重とは正反対だ。従者と思しき女性たちに「控えよ〜!」と冗談を言い、大口を開けて無邪気に笑う姿には心惹きつけるものがあった。のえの本性、裏にある別の顔を知ってしまった泰時はその姿に面食らったかもしれないが、菊地ののびやかな演技のおかげで、のえの素直さや爽快感は魅力的に映る。義時は皮肉にも裏表がありすぎる嫁をめとることになりそうだが、鎌倉をかき乱す面白いキャラクターになりそうで楽しみだ。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK