『プリズム』が提示する本当の“共存”とは? スズランとユリのような皐月と陸の関係

『プリズム』が提示する本当の“共存”とは?

「違うもの同士がそこに隣り合っているだけで助け合ってる。すごいよね」

 スズランの球根に含まれる毒が、隣り合うユリをネズミの被害から守っている。悠磨(森山未來)の言葉が、“共存”とは何かを教えてくれた『プリズム』(NHK総合)第6話。

 陸(藤原季節)は背負わせる愛を選び、皐月(杉咲花)に自分の過去を打ち明けた。皐月と出会うまで忘れられない人がいて、それは男性だったということだ。

 陸が自分の抱える苦しみを分けてくれたことは素直に嬉しい皐月。耕太郎(吉田栄作)と梨沙子(若村麻由美)、信爾(岡田義徳)が内に秘めていたそれぞれの思いを知った彼女からは、感謝の言葉が口を衝いて出る。

 一方で、愛する人にずっと忘れられない人がいたこと。それも同性であるという、“自分にとっては”高いハードルを残り越えるくらいに愛した人。その事実は皐月を動揺させる。悩んだ末に彼女が気持ちを打ち明けたのは、信爾だった。

 耕太郎は信爾と生きることを選んだが、梨沙子と皐月のことも心から愛していて、別れてからも共に過ごした日々を大切に思っていた。耕太郎はいつか家族の元に帰る。そう疑っていたという信爾。

 そんなふうに、愛する人の気持ちを分かってあげられない悲しみはもちろんある。だけど、信爾は分かってほしい人に分かってもらえない耕太郎の悲しみを、知ろうとする努力で埋めようとしてきた。

 皐月は信爾と同じように、不安な気持ちや疑問を陸にぶつける。「今大切なのは皐月だけ」という陸の言葉は皐月をひと時安心させるが、すぐに不安はぶり返す。陸の忘れられなかった人が、彼の今すぐそばにいる悠磨であることに勘付いてしまったからだ。

 皐月にとっても、悠磨は心から尊敬する人。そんな悠磨が陸の思い続けていた人なんて、皐月を襲う不安の大きさは計り知れない。自分の手がけたテラリウムの世界をガーデンに表現することを彼女が怖がったのは、家族3人で過ごした日々のように、陸との幸せな時間も“思い出”になってしまうような気がしたからではないだろうか。

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