『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』世界的人気の理由を探る TikTokトレンドが口コミを牽引?
口コミ、SNS拡散を牽引するTikTokトレンド
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の第1話、ウ・ヨンウが高校時代からの親友トン・グラミ(チュ・ヒョニョン)と交わす短い挨拶のシーンがある。テンポ良く決めポーズで終わるこの挨拶がTikTokのトレンドとなり、ダンスチャレンジ動画がたくさん作られている。
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たくさんのTikTokユーザーに紛れて、K-POPのスターたちもヨンウ&グラミのような挨拶ダンス動画を投稿し、7月末にはBTSのRMとジミンが楽屋でまねする姿がシェアされている。(※動画の3’05”あたり)
ドラマ制作者はこのシーンをバイラルにするつもりで描いたわけではないだろうが、TikTokユーザーによるちょっとしたきっかけが、大きなヒットにつながる事例が増えている。同じくNetflixの『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4で使われたケイト・ブッシュの1985年の楽曲「Running Up That Hill(神秘の丘)」が、英米のヒットチャートで37年ぶりに上位を記録した。このヒットの発信源はTikTokと言われ、1985年には生まれていなかった世代に浸透し、およそ280万本のビデオがシェアされている。ウ・ヨンウの挨拶ダンスチャレンジがバイラルとなり、積極的にドラマや映画の情報を取りに行かない層にも『ウ・ヨンウ』が周知されたことが世界的ヒットにつながったのではないだろうか。
潤沢な予算と高いプロダクションバリュー
ドラマを知る・観るきっかけが何であれ、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』が世界の視聴者に継続して観られている理由は、作品のクオリティの高さにほかならない。主人公ウ・ヨンウを演じるパク・ウンビンの確かなキャラクター理解と演技力、実際の事件をもとに書かれた精巧な脚本、ウ・ヨンウが閃くときに見えるクジラのCGのハイクオリティなど、ドラマのプロダクションバリューは群を抜いて優れている。韓国媒体では『ウ・ヨンウ』の制作費を約200億ウォン(約20億円)とし、通常の16話編成ドラマよりも高い制作費で作られていると報じている。時代劇やアクション作品ではない、法廷劇にこれだけの制作費をかける判断は、簡単なものではなかっただろう。制作費200億ウォンは、Netflixの視聴記録を作った『イカゲーム』の9話分合計2100万ドル(約28億円)と近い数字。(※3)『イカゲーム』はNetflixに約9億ドル(約1207億円)の経済効果をもたらしたという計算もあり、韓国語によるオリジナルの『ウ・ヨンウ』がこれだけヒットしたのだから、米国リメイクのオファーが寄せられているのも当然のこと。ドラマの最終回直前には、シーズン2の制作が検討されているという報道も流れた。『イカゲーム』の経済効果は外資企業の利益となったが、韓国の制作会社がIP(知的財産)を保持しリメイク権や配信権のイニシアチブを取るのは、韓国が現在行っている国産ストリーミングサービス推進政策とも連動する。クオリティ面での準備が整っていたところに話題性とタイミングの運が重なり、これだけの特大ヒットドラマになったのだろう。
参照
※1. https://top10.netflix.com/tv-non-english
※2. https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-10-17/squid-game-season-2-series-worth-900-million-to-netflix-so-far
※3. https://flixpatrol.com/top10/netflix/world/2021/full/#netflix-2
■配信情報
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
Netflixにて配信中