『愛の不時着』ヒョンビン×ソン・イェジンの隠れた初共演作『ザ・ネゴシエーション』

隠れたヒョンビン×ソン・イェジン共演作

 『愛の不時着』(2019年)の主演カップルとして人気を博したヒョンビンとソン・イェジン。プライベートでは2021年に交際宣言し、2022年にゴールインすると多くの祝福の声が上がった。幸せな報告を受けて、もう一周、二周とリ・ジョンヒョクとユン・セリの壮大なラブロマンスを楽しむ人もいるのではないだろうか。 

『愛の不時着』(Photofest/アフロ)

 今回は『愛の不時着』の前に二人が共演している、映画『ザ・ネゴシエーション』(2018年)について紹介したい。本作は、目的不明の凶悪犯ミン・テグ(ヒョンビン)とトラウマを抱えた交渉人ハ・チュユン(ソン・イェジン)が対峙する究極の心理サスペンス。ロマンス一切なしの、ドラマとは180度違うハードな二人の役柄で魅了してくれる作品である。

 物語の始まりは、民家で起きたある人質事件。ソウル市警危険交渉班の警部補で敏腕交渉人のチュユンが現場に入るも、人質と犯人を死なせてしまう。心に傷を負ったチュユンは辞職願を提出するが、タイのバンコクで発生した人質事件の主犯がチュユンを指名していると聞きつけ戻ることに。犯人は東南アジアを拠点に武器の売買を展開する国際犯罪組織のリーダーのテグ。現地で韓国人記者と海外出張中だったはずの交渉班のチーム長を拉致して人質に取り、目的不明の要求が始まる。特殊部隊の現場突入までタイムリミットは14時間。残された時間で交渉を続ける中で、拉致の動機や本当の要求が巨悪な権力に向けられているものだと明らかになっていく。

『ザ・ネゴシエーション』(c)2018 CJ ENM CORPORATION, JK FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

 本作の大きな見どころは、初の悪役を演じるヒョンビンだろう。無造作にかきあげられた前髪に胸元の開いた白のシャツ、片手に持った拳銃で残忍な人質ショーが繰り広げられる。意外という印象はなく、むしろハマっている。馴れ馴れしい態度を見せたかと思えば、突然、暴力的に振舞い、相手のウソを見破る洞察力に優れ決して騙されない。序盤は怒りの入り口を見せないことで緊張感を高めている。そして権力を嘲る完璧なダークヒーローなのに、次第にテグの心情に引っ張られてしまうのはヒョンビンの演技力の賜物だろう。

 『私の名前はキム・サムスン』(2005年)、『シークレット・ガーデン』(2010年~2011年)では、ラブコメの御曹司役で大ブレイクし数々の賞を受賞。『愛の不時着』では愛する人を一途に思い命を懸けて守る北朝鮮の第5中隊の中隊長・大尉リ・ジョンヒョクが多くの人の心を掴んだ。どんな役でも視聴者を惹きつけてきたヒョンビン。本作では初の悪役とは思えない貫禄で、二転、三転とするストーリーの面白さとスリル感を加速させる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる